小売業への豊富な導入実績を誇る日本オラクルに、グローバルの先進小売業や国内の「勝ち組」といわれる小売業におけるシステム化のトレンドを聞いた。
グローバルでの小売業に対し、200社超の基幹系アプリケーション導入実績を誇るオラクルは、小売業のシステム化のポイントをどう考えているのか。日本オラクル 事業推進統括本部 インダストリーソリューションアーキテクト本部 担当ディレクター 和田 清氏に話を聞いた。
和田氏が示す小売業の課題とシステム化動向を示す図が以下だ。小売業にとってのシステム化のトレンドは分析環境の充実と統合マスターデータ管理だと和田氏はいう。
経営トップが必要としたときに、経営情報が分からない。何かを手掛けようと思ったら、まず問題点を明らかにしなければならないので、きちんと経営情報を見える化する必要がある。そして、データマイニングなどの高度な分析に進んでいく。特に小売業は、併売分析や時間帯別の細かい売上分析、客数や客単価の推移といった、非定型で高度な分析を行いたいという需要が多い。M&Aや海外進出を機会に分析環境の拡充を考える企業も多いという。
和田氏は、小売業における分析環境構築のポイントは段階的に導入できることだと強調する。「これまでは、分析といっても実績だけをまとめている企業が多かったのではないのでしょうか。しかし今の時代、実績だけでは遅過ぎるのです。重要なのはこの先どうなるか、それをいかに精度を上げながら見ていくかです」
例えば、「この商品はこれから衰退期に入っていくのか」「現在の天候であれば在庫がたまっていくのではないか」といった“将来”が分かる環境を整える必要がある。しかし、それが分かるようなツールを使いこなすためにはもちろんリテラシーが必要で、一足飛びには進めない。「ですから分析環境を構築するには、段階的に導入していける製品を選ぶべきです。いきなり最終形にしてもコストばかりがかさみ、結局使えないシステムになってしまいます。必要に応じて使う機能を追加していく導入法が望ましいでしょう」
また、高度な分析環境を整える際に日本人が陥りやすい間違いは「予測は100%的中させなければならない」と考えてしまうことだと和田氏は指摘する。「予測というのは、極端にいうと“外れて当たり前”なのです。大事なことは、外れたときにどうするのか」と和田氏が言うように、例えば製造業における製販計画調整といった取り組みを、グローバルの先進的な小売業は取り入れ始めているという。「つまり予測の精度を上げるためには、細かいサイクルで補正を掛けることが不可欠なのです。それは『1カ月たって外れた』ではなく、週次で推移を見ながら対処していきます。週次で駄目なら日次、日次で駄目なら時間帯別と細かくしていきます。その積み重ねにより、予測外の事象が発生しても対応が可能になります」
さらには、分析結果と業務オペレーションを融合させるための仕組みも、最新のテクノロジーにより実現できるようになってきているという。例えば、「ダッシュボードを開いたら画面上にアラートが表示され、原因分析をした結果、ある商品が欠品になりそうなことが判明したので発注画面に自動的に遷移し、追加発注を実施する」というプロセスを、人手でメニューを切り替えずに一気通貫で実現できるという。
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