Linux、異機種接続――独自路線でビデオ会議市場に切り込む「Visual Nexus」ビデオ会議システム紹介:沖電気工業(OKI)

Visual Nexusは当初から他社製品との接続性を担保しながら機能進化させてきたユニークなビデオ会議システム。競争より市場を取り込んでいくことを選んだOKI独自の路線にある狙いとは何か?

2011年02月03日 08時00分 公開
[井上猛雄]

ビデオ/Web会議の中間ソリューション

 これまで「ビデオ会議システム紹介」の取材で触れてきたように、ビデオ会議システム/サービスを提供する各社は、市場拡大に向けてしのぎを削っている。そのような中で、競合他社にない独自路線を歩んでいるのが沖電気工業(以下、OKI)だ。OKIのHD対応ビデオ会議システム「Visual Nexus」は、ベンチャー企業が開発した技術を事業買収する形で同社が獲得し、OKIブランドとして2007年から販売、製品をブラッシュアップしながら現在に至っている。

画像 ソフトウェアベースでありながらハードウェア型の専用機に匹敵する映像品質をサポートするVisual Nexus

 「Visual Nexusは、先行するメジャーなビデオ会議システム専用機と互換性があることが特徴。ハードウェアの接続を保証しながら、同時にWeb会議的なアプローチ、すなわちビデオ会議端末としてPCでの利用にも対応している点が、われわれの市場におけるポジションをユニークにしている」と語るのは、OKI 通信システム事業本部 キャリアシステム事業部 ビジュアルネクサス事業推進部 営業チームの丸田雄介氏。

 Visual Nexus自体はソフトウェアだが、H.323対応の高品質な専用機に接続でき、しかも安価なPCを端末として利用できるビデオ会議システムである。いわば従来のビデオ会議システムとWeb会議システムの長所を取り込んだ、両者の中間に位置するソリューションだ。Visual Nexusをハブ的に使うことで、既存システムの有効活用が可能になる。丸田氏は「先行するビデオ会議システム市場をうまく取り込んでいけるようなモノづくりをしたいと考えていた。その際に真っ向から対抗するハードウェアを開発するのでなく、ソフトウェアという形の身軽な製品で勝負すべきだと判断した」と説明する。

画像 Visual Nexusの製品構成

 このようにOKIでは、ターゲットユーザー層も他社とは大きく異なっている。例えば従来の資産(ビデオ会議システム)を活用しながら、Web会議的なソリューションを広げていこうとするユーザーが狙いなのだ。既にビデオ会議システムを導入している中堅・大企業ならば、ビジュアルコミュニケーションから得られるメリットの理解も十分に浸透している。同社はこのようなユーザーに対し、スケールダウンやコストダウンを訴求する形で、リソースの有効活用を提案するアプローチを採っているわけだ。具体的には、ユーザー企業へのシステム販売を中心に行っている。また、ASPサービスも実施しており、まだ事業規模は小さいものの、今後の市場動向を見極めながら成長させていく意向だという。

 Visual Nexusは、アプライアンスサーバ「Meeting Server」(MCU:多地点接続装置)の他、クラアントとなる高性能ビデオ会議ソフト「Endpoint」およびファイアウォール/NAT越えでビデオ会議を実現する「Secure Transport」などで構成される。基本的にクライアント側のソフトは無償で、アプライアンスもオープンシステムを採用して価格を抑えている。従って、サーバ側の同時アクセス数に応じてライセンスを購入する仕組みとなる。以下、「OKIならでは」といえる同製品の特徴について紹介する。

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