電力不足に苦しむ関東の企業は今夏、業務体制の見直しが求められる。その1つの方策が「在宅勤務」だ。メリットやデメリット、セキュリティの課題など、S&Jコンサルティングの代表取締役、三輪信雄氏に聞いた。
輪番停電が解消され、当初予定されていた夏の計画停電も原則実施されないことになった関東地域。平常を取り戻しつつあるようだが、電力不足の危機は去っていない。
政府は電気事業法に基づき、工場などの大口需要家に対してピーク時の電力使用を制限するよう要請した。業界全体で節電目標を達成するための「輪番操業」を可能とする省令改正も検討されている。施行されれば、企業は業務体制を大幅に変更して対応していかなければならない。
電力供給ピーク時の午後2時から午後6時に節電する方法として、オフィスの空調を高めに設定することが挙げられる。気象庁のWebサイトによると、2010年6月の東京の日最高気温は27度を超え、以降8月の33.5度をピークに9月の29度まで高温をキープしていた。2011年も同様であれば、6月にはオフィス内の温度が上昇し始める。照明も一部切られた暗いオフィスに、暑さが加わる――このままでは社員の士気や生産性が下がる可能性は高い。窓が開かない高層ビルのオフィスであれば、状況はさらに深刻だ。
また、余震による交通網の乱れも社員を襲う。ただでさえ運行本数が減らされている状況だ。通勤時間はさらに延び、疲弊度はますます高まるだろう。
節電が今後5年は続くと見積もる人もいる。地震と原発の影響で景気停滞が予測される現在、企業を守り社員の業務効率を高めるには、大規模な業務改革が必要となる。
その1つの手法として注目されているのが、在宅勤務だ。「通勤がなくなることで、時間とストレスが軽減される。週1回、会議のためだけに出社するとなれば、集中して議論できるかもしれない。BCP(事業継続計画)としても有効だ」。S&Jコンサルティングの代表取締役、三輪信雄氏は言う。
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