ソフトウェアによるストレージ仮想化のメリットとは?
ハードウェアに依存しないストレージ仮想化を実現する「SANsymphony-V」
要件が高度化しているストレージ。その対応策としてストレージ仮想化が注目されている。本稿では、ストレージ仮想化を実現するソフトウェア「SANsymphony-V」の概要を紹介する。
リソースの効率化やコスト削減を目的とした「サーバ仮想化」導入が本格化し、次のステップとして「デスクトップ仮想化」導入の動きも進んでいる。そうした仮想化技術を活用する領域として、現在注目が集まっているのが「ストレージ仮想化」だ。
データコア・ソフトウェア(以下、データコア)副社長の手塚弘章氏は「仮想環境の導入が拡大するに伴い、ストレージに対する要件は高度化している。変化するインフラへの迅速な対応や無停止・長期間運用、投資の最適化など、より柔軟性が求められてきた」とストレージに対する市場ニーズを説明する。その上で「そうしたニーズに対応するため、従来の物理ストレージだけではなく、ストレージ仮想化の導入を検討する企業が増えている」と語る。
しかし、ストレージ仮想化は「導入コストが高額」「専門知識がないと運用が難しい」「導入効果が分かりにくい」などの理由から、実際の導入にまで踏み切れていない企業が多いのも現状だ。TechTargetジャパンが2010年11月に実施した読者調査でも、ストレージ仮想化を導入している企業は2割にとどまっている。
手塚氏は「現在、主流となっているハードウェアベースのストレージ仮想化では、リソースやボリュームの管理、製品仕様など全てが専用ハードウェア上のストレージコントローラーに依存しているため、システムの柔軟性や拡張性の面で課題がある」と指摘する。
データコアは2011年2月、ストレージ仮想化ソフトウェアの最新バージョン「SANsymphony-V」を発表した。手塚氏は「ハードウェアの仕様やライフサイクルに依存しない真のオープン環境で、ストレージコントローラーの壁を越えた柔軟なボリューム、リソース管理を実現できる」と、そのメリットを強調する。本稿では、SANsymphony-Vの機能の特徴を紹介するとともに、ストレージ仮想化を支援するソフトウェアの導入メリットを考えてみる。
ハードウェアや規模を問わず、ストレージの仮想化を実現
SANsymphony-Vは、汎用のIAサーバ上にストレージ仮想化レイヤーを構築してリソースを一括管理し、ホスト側に仮想ディスクを提供するソフトウェア。ファイバーチャネル(FC)とiSCSIに対応し、ブロックレベルのI/Oコントロールが可能。また、WindowsやLinux、UNIX、NetWareなどのOS、VMwareやXenServer、Hyper-Vといった仮想サーバをサポートする。
データコアはこれまで、エンタープライズ向けに「SANsymphony」、中小規模企業向けには「SANmelody」を提供してきた。SANsymphony-Vはその後継となり、2製品を単一ブランドに統合した。同社セールス アカウント ディレクターの片山 崇氏は「SANsymphony-Vでは、数テラバイトの小規模環境から数ペタバイトの大規模環境までシームレスに拡張することが可能。また、企業規模を問わずスモールスタートでストレージ仮想化を導入できる」と説明する。
片山氏は、SANsymphony-Vの特徴の1つに「ユーザビリティの向上」を挙げている。SANsymphony-Vでは直感的で操作しやすいウィザードベースの管理画面「セントラルコンソール」を提供する。セントラルコンソールはウィザードと対話型の操作ガイドによって、2、3ステップでほとんどの操作が完了する。「専門知識を持つIT管理者がいない中小規模企業でも、仮想ストレージ環境の運用管理からメンテナンスまでを容易に行えるようになる」(片山氏)という。
セントラルコンソールでは、ノードおよびグループ単位で仮想ストレージの全ての情報を集中・統合管理できる。また、SANのリソース全体やイベントログ、稼働状況などのメンテナンスに関する情報も一覧で把握することが可能だ。さらに、Windows Server Coreへのインストールも可能となり、運用管理の安定性や信頼性を向上させている。
リソースの有効活用や災害対策機能などを強化
また、SANsymphony-Vでは従来の技術基盤を継承しつつ、さまざまな機能を強化・拡張している。主な機能強化ポイントを紹介しよう。
仮想ディスクシンプロビジョニング
物理ストレージの容量に関係なく最大1P(ペタ)バイトの仮想ディスクを提供する「仮想ディスクシンプロビジョニング」機能を搭載。仮想ディスクプールで互換性のないデバイスのリソースを統合したり、リソースの動的な割り当てなどが可能になった。また、仮想ディスク単位でのリソース予約機能や割り当てたリソースを解放する機能なども提供する。
リアルタイムでの同期ミラーリング
データコアサーバをHA(高可用性)構成にし、別筐体のストレージ間でリアルタイムの同期ミラーリングを行う機能を提供。物理的に分かれたノード間でのミラーリングのため、ロケーションを問わず仮想ディスクを二重化し、障害時には自動フェイルオーバーが可能。また、I/Oを継続させながら、構成変更やリプレースなどのメンテナンスを実施でき、完全無停止運用を実現する。
「スナップショット」機能
実行時点の仮想ディスクのイメージを複製するスナップ機能では、差分もしくは完全複製の2つのタイプを選択でき、差分から完全複製への切り替えをワンクリックで行うことができる。今回、ディスクの署名情報のコピーを選択できるようになり、より柔軟なリストア設計が可能となった。
災害対策機能を拡張
災害対策向けには「非同期リモートレプリケーション」機能を拡張した。新プロトコルと圧縮技術を採用し、同社比で従来の5~20倍まで転送速度を高速化した。また、拡張オプションとして「Advanced Site Recovery(ASR)」機能を提供。ASRはリモートレプリケーションと組み合わせることで、メインサイトと遠隔サイト間の双方向での転送を実現。これにより、サイト切り替え後のデータ復旧などを容易に行えるようになった。
継続的データ保護(CDP)機能
継続的データ保護(CDP)機能では、8時間から最長48時間までのデータ更新をブロックレベルでロギングすることが可能。指定したプールに直接ログを蓄積し、過去の任意の時点まで簡単に仮想ディスクをロールバックさせることができる。
ディスク移行機能「Pass-Through Disk」
従来のディスク移行機能を強化した「Pass-Through Disk」機能を提供。既存ストレージのボリューム構成を維持しながら、仮想ストレージ環境に移行できる。また、スナップショット機能や同期ミラーリング機能と連携して、最小の停止時間でのデータ移行を実現するという。
容量追加に柔軟に対応するライセンス体系
これらの機能強化と併せて、SANsymphony-Vではライセンス体系の見直しも行っており、中小規模企業からエンタープライズ企業、さらにはサービス事業者まで幅広い企業でより導入しやすいようシンプルな体系に改定している。
新ライセンス体系では、データコアサーバグループ当たり2ノードに基準を統一し、容量と機能に応じて「vL1(5Tバイト)」から「vL5(256Tバイト以上)」まで5つのレベルを用意。容量の追加はサーバグループごとに1Tバイト単位で追加できる。
片山氏は「企業のビジネス成長に合わせて、スモールスタートから柔軟にストレージ容量を増設していくことが可能。また、追加容量のライセンスには年間サポート料金を設定していないため、保守コストも削減できる」としている。
SANsymphony-V vL1レベルの提供価格は、ライセンス価格が30万4000円、1年間サポート料が7万6000円。また、1Tバイト当たりの追加容量ライセンス価格は、99Tバイト以上の場合で5万2000円となる(いずれも税別)。
今後の展開
既に決済代行サービスなどを展開するネットムーブが、SANsymphony-Vを採用したVPSサービスを提供開始している。今後同社では、SANsymphony-Vをストレージ仮想化市場拡大の中核製品として位置付け、積極的に拡販展開に取り組む方針だ。
手塚氏は「拡販に向けて、ディストリビューターや販売パートナーを増強し、販売体制を拡充する。また、他の仮想化ベンダーとのアライアンスを強化していく」と語る。その上で「データコアでは今後、汎用サーバとソフトウェアで実現するストレージ仮想化のメリットを幅広い企業に認知させて、市場全体の底上げを図る」とし、ストレージ仮想化市場拡大のけん引役を担う考えを示した。
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