低コストな基幹システム構築、海外進出という2つのトレンドがクラウドERPの普及を後押ししている。クラウドERPで老舗といえるNetSuiteは日本企業のIT投資への考え方の変化を捉えて、成長機会を探る。
「NetSuite」はクラウドERPの先駆けともいえる存在だ。同製品を提供する米ネットスイートは1998年に設立された企業だが、創業から今日に至るまで、一貫してクラウドの業務アプリケーションスイートの提供に特化したビジネスモデルで順調に成長を続けている。同社は、1999年に創業したセールスフォース・ドットコムと共に、1990年代のネットバブルが弾けて以降の新たな企業向けネットビジネスをけん引する存在として、米国を中心に多くのユーザーから支持を得ている(ちなみに、ネットスイートとセールスフォース・ドットコムは共に、米オラクルのCEO ラリー・エリソン氏が出資する企業でもある)。
NetSuiteは財務会計、CRM、Eコマースといった、企業の基幹業務に必要なアプリケーション機能を単一のデータベース上に統合アプリケーションスイートとして実装し、それをインターネット経由のサービスとして提供する製品である。既に世界では米国を中心に7000社、1万拠点以上で導入されており、日本国内でも業種/業界を問わずさまざまな企業で導入されている。ただし、日本においては基幹系アプリケーションをクラウドで利用する形態にはまだまだ慎重な企業が多いせいか、日本国内での認知度は前述したセールスフォース・ドットコムと比べると、相対的に低い印象は否めない。
ネットスイートのマーケティング本部 部長の内野 彰氏はこうした状況を指して、「クラウドの捉え方が、これまで日本ではいびつだった」と述べる。
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