「3時間待ちの3分診療」 待合室の混雑をIT化で緩和する方法【連載コラム】医療ITの現場から

季節性の流行病が増えると患者で待合室が混雑することもあるが、それに伴うトラブルも多い。IT化で緩和する方法を考えてみよう。

2012年02月17日 09時00分 公開
[大西大輔,メディキャスト]

待合室の混雑が招くトラブル

 クリニックを開業して患者が増えてくると、待合室が混雑する状況になります。人気があるクリニックの証しともいえますが、それに伴うトラブルも多く発生します。例えば、流行性の病気に感染した患者がいる場合は、院内感染のリスクがあります。

 また、診察の待ち時間が長くなると患者にストレスを与えかねません。「3時間待ちの3分診療」という言葉を聞いたことがありますか? 長時間待たせた揚げ句、わずか数分で治療が終わることを例えた言葉です。

 厚生労働省が2009年に発表した「平成20年受療行動調査」によると、外来患者の診察前の待ち時間は「30分以上1時間未満」が24.5%と最も多く、診察時間は「3分以上10分未満」が過半数(53.4%)を占めるという結果でした。しかし、診察までの待ち時間は多くの患者が医療機関への不満に挙げています。

 この問題を解決するためには待合室での待ち時間を短縮したり、なるべく快適に過ごしてもらえるように工夫したりする必要があります(連載インデックス:【連載コラム】医療ITの現場から)。

待合室での滞在時間の短縮

 待ち時間の短縮は「待合室での滞在時間の短縮」と言い換えると、解決の糸口が見えてきます。待合室の混雑をIT化で緩和する方法としては、診療予約システムの導入が考えられます。

 診療予約システムには窓口での自動受付、PCや携帯サイト、スマートフォンからのWeb予約、現在の待ち時間や待機の順番などの案内表示、メールによる診察時間の自動通知など、さまざまな機能があります。このシステムがあれば、患者は自分より先に何人の患者が診察を待っているのかを知ることができたり、待合室で待たずに外出して別の用事を済ませることも可能です。院内感染のリスクや患者のストレスも軽減できます。

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