SAPの顧客の一部から、従量課金制を求める声が上がっている。従量課金制はIT投資の最適化につながるのか? ライセンス方式の変更はユーザー企業に何をもたらすのだろうか。
独SAPの一部の顧客は、同社の従来の価格モデルに代わる新たなモデルを求めている。例えば、ソフトウェアを使った分だけ料金を支払う従量課金制などが含まれる。
こうした代替モデルを求めている1人であるドン・ホイッティントン氏は、甘味料や代替糖のメーカーである米Florida Crystalsの最高技術責任者(CTO)を務めている。
ホイッティントン氏は、課金方式が変わってきている例として、仮想化・クラウドサービスプロバイダーの米Virtustreamを引き合いに出した。同社は従量制のオプションを顧客に売り込んでいる。同じく仮想化ベンダーの米VMwareも、同様の選択肢を試験的に顧客に提供しようとしていると報じられている。こうしたモデルは、SAPのオンプレミス(自社設置型)アプリケーションにも適用できるのではないかと、ホイッティントン氏は語った。さらに、ライセンシングの問題は、SAPソフトウェアの迅速な導入展開の妨げになることがあると付け加えた。
「従来のモデルは固定的な面があり、やや硬直的だ。ソフトウェアは、いったん導入したら長年使い続けるものだという前提に立っているからだ。だが、仮想環境への移行が進むとともに、試してから買うのに適した課金方式でのソフトウェア提供が拡大すると思う」とホイッティントン氏は語った。「そして、ソフトウェアを導入・運用して、気に入ったら料金を払い続けるということが可能になる。使った分だけ支払う従量モデルのおかげだ。使っていれば料金を払い、使うのをやめれば支払いがなくなり、たくさん使えばたくさん払うというわけだ」
ホイッティントン氏だけではない。SAPの他の顧客からも同社の価格モデルへの不満の声が出ており、その背景には、同社のソフトウェアは、利用度から見て価格が高過ぎるという認識があると、米Forrester Researchのアナリスト、ダンカン・ジョーンズ氏は語った。
「彼らは費用に見合う価値を得ていないように感じている」(ジョーンズ氏)
だが問題は、SAPソフトウェアの従量制ライセンスモデルを構築するのが想像以上に難しいことだと、ジョーンズ氏は指摘する。従来のようなライセンス料ではなく、ユーザーごとの実際の使用状況に基づく料金を支払うのは、魅力的に思えるが、この方式にはマイナス面も多いという。
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