IT部門が求められるERPコストの課題。買収を通じて事業のグローバル化を積極的に進めているJTは、基幹系システムの仮想インフラ移行やERPベンダーとの契約の見直しで大幅なコスト削減を狙っている。
企業のIT部門が経営から求められる課題の1つがコスト削減だ。特に予算規模が大きいERP関連のコスト削減が必達目標となっているIT部門は多い。世界3位のたばこメーカーで、食品や医薬などさまざまな事業を展開する日本たばこ産業(JT)のIT部 部長 引地久之氏の講演を元に同社のITコスト削減の取り組みを紹介しよう(参考記事:【事例】アステラス製薬、日米欧のCIO“3兄弟”でグローバルITを管理する)。
IT部門全体のコスト削減を行う方法としてよく行われるのが、ERPの開発や運用を担うIT部門自体の子会社化だ。特にシステムインテグレーターとの合弁会社に統合し、外販などを行わせるケースが多い。本社から見るとIT部門を子会社化することで、身内ではなく外部パートナーとしての付き合いになり、ERP関連を含めたコスト削減効果が期待できる。また、IT子会社が外販で利益を上げれば本社への配当のフィードバックも期待できる。
JTも2002年以降、システム子会社をNTTデータに売却するなどの施策でITコストの削減を行ってきた。しかし、IT部門を社内に持たないことで各事業部にITのノウハウや運用管理作業が分散し、非効率で高コストな体制になってしまった。JTは近年の買収により世界120カ国以上で事業を展開するなど管理体制が複雑化。ERPなどのITシステムについても低コスト化や高度化が求められていた。「売り上げ2兆円の企業をいかにITで下支えするかを考える必要があった」(引地氏)
JTは「ITサービスの価値を最大化する」をキーワードに2009年にIT部を設立し、全社のITシステム開発と管理の再統合を開始した。取り組んだのはITサービスの全体最適やグローバル化など。特に力を入れたのがIT固定費の削減だった。
「これまでは各部門が個別で構築して、テーラーメイドでシステムを作ってきた。これをネットワークでつないで双方の情報を活用しようとするとインタフェースの山ができてしまう。この簡素化がポイントだ。簡素化によってコストが削減され、オペレーションミスなど複合的なコストの削減にもなる」
JTはERP関連など具体的なITコストの削減方法として5つのステップを考えている(下図)。目標は2009年当時のIT固定、維持管理費用を2015年までに半減することだ。まずはステップ1として、世界の競合や大手企業を参考に、IT部門の業務効率化や成熟度に関するベンチマークを設定し、これによって自社のIT部門のレベルを把握した。加えてシステム資産の再構築としてサーバの仮想化を開始した。物理サーバ台数の70%削減を目標にしていたが、既に71.4%の削減を達成したという。「2014年までに基幹システムはほぼ仮想インフラに載せる予定」としていて、ERPのプラットフォームも仮想インフラに移行する(参考記事:【技術動向】ERP製品選択で注目したい7つのテクノロジー)。
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