クラウドベースのアーカイビングを導入・運用する上で、サービスレベル管理は極めて重要な要素だ。クラウドアーカイビングベンダーの選定に当たって検討すべきサービスレベルについて解説する。
アーカイビングはコンピュータの歴史の初期には、データをテープに移し遠隔施設で長期間保存することを意味した。だが、今ではその手法は大きく変わってきている。電子メールメッセージの自動アーカイビングのような簡単なものから、オフサイト保管施設での物理的なテープの搬入、搬出を伴う従来型の厄介なものまで、多種多様なアーカイビングオプションが利用できるようになっている。
中でもクラウドアーカイビングは、特に魅力的なオプションだ。オンサイトのアーカイビングインフラを構築する場合と比べてわずかなコストで、アクセス性とデータ保存機能を享受できるからだ。本稿では、コストパフォーマンス、クラウドアーカイビングのメリット/デメリット、サービスレベル、アクセス性、ディザスタリカバリのオプション、コンプライアンスなど、クラウドベースのアーカイビングを評価する際に検討すべき重要な要素について解説する。
「アーカイブ」という言葉は、データを非常に長期にわたって保存することを示すが、保存期間は業種によって異なる。例えば、ほとんどの財務データは7年間保存する必要があるが、新薬研究データは20年間の保存が必要なことがあり、一部の医療記録や原子力関連の記録は50年間保存しなければならない。一般的に、HDDや(アイドル時に回転が停止する)スピンダウンディスクにデータを10年間以上保持すると、非常に高額なコストが掛かる。また、今から10年後にどのようなアーカイビング技術が利用できるかを予測するのは困難だ。そこで本稿では、クラウドアーカイビングにおける「長期」は、1~7年を指すものとする。
クラウドベースのアーカイビングは、コストとアクセス性の最適なバランスを実現できる可能性がある。テープは、データを長年保存するための断然安上がりな方法だったし、今もそうだ。1Tバイト程度の容量を持つ一般的なLTOテープは約35ドルで、オフサイト施設でのテープ保管コストは1本当たり月額25セント程度だ。一番安いクラウドディスクでも、このコストの安さには太刀打ちできない。その半面、テープの場合、アーカイブからデータを取り出そうとすると、通常、依頼した翌営業日にテープが手元に届き、それをマウントしてデータをリストアする時間もかかる。つまり、ユーザーは、必要な情報にアクセスするまでに、約1営業日待たなければならない。
これに対し、クラウドストレージの料金は、10Gバイト当たり月額10セント程度からの従量課金制だ。使用容量が数百Tバイトになると料金もかさむが、それでも大抵の場合、ストレージアレイを自前で調達し、中央データセンターに配備し、管理するよりも安上がりだ。また、テープからデータを取り出すのは1~数日がかりだが、クラウドベースのストレージ上のデータには数秒でアクセスできる。一部のアプリケーションでは、こうしたコストとパフォーマンスのバランスは理想的なものかもしれない。
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