企業の景気回復の動きはまだ鈍いものの、必要と思われる分野のIT投資には前年よりも意欲的――企業のIT責任者やIT管理者、ITコンサルタントなど1155人にIT投資の見通しを聞いた。
クラウドコンピューティング、ソーシャルメディア、モバイルコンピューティングなどのトレンドを支える新しい技術とアプリケーションは、コンピュータに対する需要を促進している。これらの需要は、IT部門のデータセンター戦略と購入判断にも影響を与えている。
米TechTargetでは、これらの技術に照準を合わせて「Data Center & Reader's Choice 2013」調査を行い、読者の向こう1年間の関心事と戦略を探った。
この調査は2013年春に実施したもので、企業のIT責任者やIT管理者、ITコンサルタントなど1155人の読者から回答を得た。
回答者の多くは「景気回復の動きが鈍いために、企業は今後も支出に慎重になるだろう」と予想している。しかし必要と思われる分野へのIT投資には意欲的であることも調査で明らかになった。
「データセンターに対する支出は2013年も変わらない」と答えたのは1155人の回答者の24.6%だったの対し、「データセンターへの支出は5%から10%増加する見込み」と答えたのは19.3%だった。「データセンターへの支出が10%以上増加する」と答えた人は16%余りだった。
2012年の調査では、「データセンターへの支出は従来と同じ」と答えたのは656人の回答者の21.3%で、「支出が5%から10%増加する」と答えたのは22.4%、「10%以上増加する」と答えたのは27.3%だった。
米調査会社Gartnerによると、2013年1〜3月期、全世界でのブレードサーバの販売台数が5.9%減少し、x86マシンの販売台数には変化がなかったが、TechTargetの読者の間には、2013年、ブレードサーバの購入を増やす予定だという人も少なくない。
TechTargetの調査では、「2013年は昨年よりもブレードサーバの購入を増やす予定」と答えたのは1155人の回答者の21.4%だった。一方、「2013年の購入台数は昨年とほぼ同じ」と答えたのは23.6%だった。この質問に回答した701人の回答者の40%以上は、主要なブレードサーバベンダーとして米Hewlett-Packard(HP)を挙げた。
データセンターの規模に関しては「サーバの数が100台以下」と答えたのは1155人の回答者の72%弱で、「101〜500台」と答えたのは約15%だった。
回答者の32.4%は、自社のデータセンターで最も標準的なサーバのクラス(タイプ)として2Uラックサーバを挙げた。この質問に答えた708人の回答者の中で最も人気の高かったOSは「Windows Server 2008 R2」だった(82.5%)。「Windows Server 2003を使っている」と答えたのは57.5%、「Windows Server 2008」は42.7%、「Windows Server 2012」は40.1%だった。また「Red Hat Enterprise Linuxを使っている」と答えたのは36.9%だったのに対し、「Solaris」を使っている企業は18%、「Oracle Enterprise Linux」は14.1%という結果だった(利用OSについては複数回答可とした)。
サーバの仮想化も依然としてデータセンター戦略で重要な一角を占めているようだ。「今後1年間でサーバ仮想化の規模を拡大する」と答えた人は、739人の回答者の78.5%にも上った。
米VMwareは大手仮想化ベンダーの中でトップの座を維持しており、714人の回答者の47.6%が「VMware ESXi 5以降の製品を主要な仮想化製品あるいは仮想化コンポーネントとして使っている」と答えた。これに対し、「Microsoft Hyper-V(2.0)R2」は11.2%、「Hyper-V 3.0」は7.3%だった。
緩やかな景気回復の中にあっても、企業は慎重な構えを崩しておらず、714人の回答者の32.2%が「2013年の仮想化投資は昨年と同水準にとどまる」と答えた。
従業員がいつでもどこからでも社内データにアクセスできるのが魅力のクラウドは、企業の世界に着実に進出しつつある。
625人の回答者の20.2%が「プライベートクラウドを導入した」と答え、13.1%が「ハイブリッド型クラウドを導入した」と答えた。「パブリッククラウドを利用している」と答えたのは5.3%にすぎなかった。「自社独自のプライベートクラウドを構築する予定」としたのは335人の回答者の85.5%で、残りの14.5%は「プライベートクラウド用の専用システムを利用する予定」と答えた。
「業務でクラウドを利用していない」あるいは「その予定はない」と答えた197人の回答者は、幾つかの不安要素を挙げた。「セキュリティが最大の不安要素だ」と答えたのは回答者の37.1%だった。次に多かったのが、「業務用のアプリケーションやユーティリティがクラウドに対応していない」という回答だ(26.4%)。「コンピューティングリソースの計測や課金を行っていない」という回答も24%近くあった。
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