米McDonald'sでは、顧客エンゲージメントの向上を狙い、さまざまなテクノロジーを模索している。デジタル技術に精通した「破壊的な顧客」は、同社にどのような変化をもたらすのだろうか。
ファストフードチェーン大手の米McDonald'sは、インタラクティブ技術を店舗に取り入れ、顧客エンゲージメントの向上を狙っている。キオスク端末を使ったセルフサービスシステムやタブレット端末、3Dプリンタなどのテクノロジーを模索中だ。
McDonald's Restaurants UKで情報技術およびデジタル担当ディレクターを務めるマーク・フェビス氏は、(新しい価値基準を生む)「破壊的な顧客」への対応が主な課題だと話す。
「顧客は(スマートフォンやタブレット端末など)指先で操作するテクノロジーを持っており、そうした技術を使ったエンゲージメントを期待している」(フェビス氏)
同氏によると、デジタル技術に精通した顧客に、McDonald'sのモットー「good food, fast(おいしい食べ物を早く)」をどのように浸透させるかを考える必要があるという。加えて、スタッフには、顧客が利用する、あるいは業務を容易にする最新技術について、遅れずに付いていくように奨励しているという。
「われわれは、眠らない社会で事業を展開している」と同氏は述べる。営業時間を延長する店舗が増える一方で、調理場やバックオフィスを支援する大規模で堅牢なテクノロジーが必要とされている。
McDonald'sでは、キオスク端末によるセルフオーダーシステムの他、顧客の使うインタラクティブテーブルやタブレット端末を一部の店舗で試験運用している。
さらに、Happy Meals(ハッピーセット)に付属するおもちゃを集め損ねた子ども向けに、3Dプリンタで印刷制作する店舗サービスも視野に入れている、とフェベス氏は述べた。
革新的な技術を取り入れることは大事な要素の1つだが、そうしたさまざまなテクノロジーを結合し、「統合された店舗」を構築することが重要である、と同氏は語った。
「どのようにして、シームレスであり、かつエキサイティングな方法で、その体験を実現するべきか」とフェベス氏は述べ、「われわれは、それを個別に実現しようというのではない。デジタルエコシステムの中で、組み合わせようとしているのだ」と語った。
店舗には、ルック&フィールの一貫した顧客接点が必要だと同氏は話す。それにより、デジタルマーケティングから、自宅にいる人、店舗の近くを通り掛かった潜在顧客まで、さまざまな接点でコミュニケーションが取れるという。
McDonald'sではまた、モバイルアプリケーションを用いたゲーミフィケーションの実験も実施した。今夏販売したスムージーの無料ドリンク券をアプリで提供したという。モバイル端末上に表示される「氷のブロック」を指先でこするか、太陽の光に当てて「溶かす」と、無料券が手に入るというものだった。
「アプリのダウンロードによって、顧客を店舗に誘導しようというものだ。ある意味、興味深い取り組みだった」(フェビス氏)
最も重要なのは、そのテクノロジーを初めて利用する顧客に完全な機能を提供することだ。そうでないと、顧客はもう二度と使ってくれないからだ。McDonald'sでの技術導入には富士通が協力したという。
ドイツ・ミュンヘンで開催された富士通の年次カンファレンスで、フェベス氏はMcDonald'sの取締役会が技術への投資にとても協力的だったと述べた。ただし、この協力は、その技術がビジネスにどのように貢献するかを、経営者の理解できる言葉で説明することで得られたのだという。「実現可能性を語るのではなく、ビジネスの成長を語ることが重要だ」(フェビス氏)
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