多くのユーザーが、モバイルアプリを購入する前にアプリストアのレビューを参考にする。今や、開発者や企業だけでなく、ユーザーを巻き込んでアプリの品質を判断・評価する時代になった。
「アプリケーションの品質の定義は変わった」。これこそ、2013年10月下旬に米国フェニックスで開かれた、ソフトウェアテスター向けのイベント「STPCon」で、基調講演の核となるメッセージだった。ソフトウェアのテストを専門とする米uTestのプロダクトデリバリー部門担当副社長ジョン・モンゴメリー氏が、現在のモバイルアプリと以前のWebアプリケーションとの違いを解説する中で打ち出したフレーズだ。昨今のテクノロジーの発達によって直接的なコミュニケーションを可能にするチャネルが増え、経験豊富なモバイル開発者たちは、社内の設計者からの声よりも顧客の意向に目を向けることが多くなっている。
かつては、ソフトウェア企業がソフトウェアの品質の定義をユーザーに啓発していた時期もあった。当時はソフトウェアを開発した企業が主導権を握り、ソフトウェアの正しい使い方と、そのソフトウェアが動作する適切なコンピュータを決めていた。ドン・ドレイパー(米国テレビドラマ「マッドメン」の主役)のような広報担当者が、ソフトウェアの内部要件をユーザーに押し付けていたものだった。
その後、状況は一変した。ユーザーがすぐにでも選べる選択肢が増えた。ソフトウェアを乗り換えるハードルは低くなった。また、昔に比べて今のユーザーは、品質のむらに対してはるかに手厳しくなっている。
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