米Nemertes Researchのアナリスト、フィリップ・クラーク氏が、ユニファイドコミュニケーション(UC)ベンダーを評価するコツを紹介する。モバイルコラボレーションの導入の際、ベンダー評価の一環としてベンダーに聞くべきモバイルUCに関する質問を例示する。
“ユニファイドコミュニケーションおよびコラボレーション(UCC)”アプリケーションを拡張してモバイルデバイスでも活用できるようにするには、従来のノートPCやデスクトップPCによるUCCの利用上の課題とは異なる課題に対処しなければならない。モバイルUCCの社内活用を検討している場合、従来のUCをどのように拡張するかを決める前に、以下の10のポイントに沿ってUCベンダーに質問するとよい。
(質問例、以下同)
- 貴社は物理アプライアンス、仮想アプライアンス、あるいはSaaS/クラウドサービスを提供していますか? サービスプロバイダーによって管理されるかどうかも含めて、各サービスを説明してください。
- 仮想アプライアンスや専用アプライアンスにはどのようなプラットフォームが必要ですか?
- ライセンスに関する貴社と顧客との契約はどのようなものですか?
- 導入するには、システムインテグレーターや専門サービスコンサルタントのノウハウに頼る必要がありますか? もしそうなら、貴社はそうした導入支援サービスを提供していますか。限られたデータで信頼性の高い見積もりを出してもらえますか?
- どのようにUCC機能をモバイルデバイスに提供しますか? ネイティブアプリ、Webベースのアプリまたは構成スクリプト、仮想デスクトップインタフェースの実装のうち、どの方法を使いますか?
- どのモバイルOSをサポートしますか? どのような技術でUC機能を拡張しますか?
- モバイルコラボレーションの意味は、ベンダーや企業によってまちまちです。貴社はサービスの中でどのようなモバイル機能を提供するか、具体的に教えてください。例えば、インスタントメッセージング(IM)、プレゼンス、ネイティブ音声統合、サードパーティー音声統合、セキュアワークスペース、セキュアドキュメントリポジトリ(SDR)、ドキュメントコラボレーション、ビデオおよび音声会議、画面共有のうち、どの機能を提供しますか?
- われわれは、IPテレフォニー(IPT)や音声会議、Web会議、Lync、Jabberといった複数ベンダーのUCサービスを既に利用しています。貴社製品のUC機能において1社のベンダーへの依存がある場合、それはどのようなものですか?
- 貴社サービスの機能の中で、モバイルデバイスでアクセスできるものを全て説明してください。それらの機能がどの程度利用できるか、利用するための前提条件やインフラ要件があるかどうかにも触れてください。
- われわれがLyncかJabberをUC機能の柱に据える場合、クロスプラットフォームの互換性を確保するためにどのような統合ポイントやAPIをサポートしますか?
- モバイルデバイス管理などのセキュリティソフトウェアとどのように連携するかを説明してください。セキュリティベンダーやモバイルセキュリティベンダーと提携している場合は、それについても説明願います。
- モバイルデバイスによるUCスイートのメッセージング、電子メール、SMSなどのセキュアな利用をサポートしていますか?
- 貴社がクラウドサービスを提供している場合、HIPAAやPCI基準といった業界規制の順守を確保するために、どのような機能を用意していますか?
- 貴社のサービスがわれわれのネットワークセキュリティインフラにどのように適合するか、説明してください。あるいはアーキテクチャマップを見せてくれませんか?
- 製品はファイアウォール機器やディープパケットインスペクションと組み合わせてうまく機能しますか?
- 製品はIPv6に対応していますか? 対応している場合、IPv6機能を利用するために何が必要かを説明してください。
- われわれはロールベース管理の導入を順次進めており、BYODも導入するかもしれません。自動構成、デバイスのUCアクセス権の解除、アプリ/エージェント/構成スクリプトの解除、ユニファイドアクセス、仕事とパーソナルのコミュニケーションの切り替えといった管理操作については、どのような機能を提供していますか?
- 貴社のサービスを顧客がどのように使っているかを示す特徴的な例として、どのようなものがありますか?
- 通常、どのような業種に販売していますか? それはなぜですか?
- 顧客の連絡先を教えてもらえますか? 貴社のサービスをどのように使っていて、それらのサービスのエクスペリエンスがどのようなものか、お聞きしたいと考えています。
- UCとモビリティの統合がわれわれのWANや無線LANにどのように影響するかを理解することは、重要です。製品の機能について説明してください。例えば、貴社の製品はトラフィックを圧縮しますか? 圧縮はストリーム間で有効ですか? アプライアンス間で有効ですか?
- 貴社の製品は、圧縮済みのトラフィックをどのように扱いますか? また、トラフィックのシェーピングや優先順位付けを行いますか? どのようなトラフィックのシェーピングが可能ですか? 他のQoSメカニズムと連動しますか?
- われわれがSharePointやBox、DropboxをSDR、コンテンツ管理、あるいはドキュメントコラボレーションに利用している場合、貴社はどのような統合機能を提供しますか?
- クラウドベースのドキュメントコラボレーションソフトウェアとの連係機能を提供しますか?
- 独自の統合APIを用意していますか、あるいはSDRプロバイダーに依存していますか?
- ドキュメント分野で提供する機能を全て説明してください。
以上で、ベンダーに聞くべき広範かつ重要な質問の準備ができた。これらの質問を通じて情報を聞き出せば、モバイルUCの選択肢を見極めるのに役立つはずだ。そこで以下に、検討すべき代表的なモバイルUCベンダーのリストを示す。