GoogleとAppleは、次期モバイルOS「Android L」「iOS 8」において、企業向け機能を強化している。主に消費者向け製品として端を発した両OSは今、企業向けのITへとかじを切り始めている。
米Googleと米Appleは、次期モバイルOS「Android L」および「iOS 8」について、それぞれ新たなデザイン要素や主な変更点を積極的にアピールしている。さらに、今回のアップデートでは、企業向けの機能も大幅に強化されることになる。AndroidとiOSはこれまで、消費者向けのプラットフォームとして発展してきたが、今では「コンシューマライゼーション」の方向へとかじを切り始めている。
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Googleは企業向け対応に関して、明確な一歩を踏み出している。同社は先日、開発者向け年次会議「Google I/O」において、「Google Docs」と「Microsoft Office」の互換性強化と、新たな「Android for Work」プラットフォームを発表した。Android for Workでは、アプリケーションとデータをコンテナ技術で隔離し、単一のモバイル端末上で個人領域と仕事領域を共存させることができる。
OfficeとGoogle Docsの連係に関しては、懐疑的な目を向ける専門家がいる。米TECHnalysis Researchの創業者でチーフアナリストを務めるボブ・オドネル氏は「ファイルフォーマットの互換性を完全に維持するのは困難である。なぜなら、OfficeのファイルフォーマットはMicrosoftが所有し、みんなと共有するとは考えられないからだ」と説明する。また、MicrosoftはiPad版Officeに続き、Android向けにもOfficeアプリのリリースを進めている(機能限定版の「Office Mobile」は提供中)。この点も疑念を強くする要因となっている。
一方でAppleのiOS 8は、企業向けのセキュリティ機能が重点的に強化されている。セキュリティ、管理、生産性に関する企業向け機能が追加され、アプリケーション強化が図られる。メール、カレンダー、連絡先、リマインダー、ノート、メッセージなどのアプリでパスコード保護が可能になり、S/MIME(Secure Multi-Purpose Internet Mail Extensions)によるメールの暗号化にも対応する。
こうした取り組みは、ビジネスユーザーにとって何を意味するのだろうか? スマートフォン/タブレットの利用に際して、ビジネスとプライベートの境界線がますます見えにくくなることだ。多くのユーザーは、その変化に気付きさえしないだろう。IT部門にとっては、セキュリティや端末管理といった悩みを解消できるかもしれない。
iOSとAndroidにはその他にも、指紋認証機能「Touch ID API」の公開や、韓国Samsungが提供する技術を取り込んだAndroid for Workなど、さまざまな企業向け機能が実装される。
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