「Windows 10 Technical Preview」はユーザーと管理者に米Microsoftの次期OSを試す機会を与えてくれるが、検証の際には関連ソフトウェアを正しくアップデートする必要がある。
「Windows 10 Technical Preview」のリリースにより、ユーザーおよび管理者はMicrosoftの次期OSを試し、改良が必要な機能についてフィードバックできるようになった。米TechTargetでは早速、システムファームウェアのアップデートや新しいデバイスドライバに関連した初期の問題に注目した。その他にも、ディスプレーのサポートやアプリケーションのWindows 10用アップデートなどに関して留意すべきポイントが幾つかある。
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Windowsは非常にグラフィカルなプラットフォームであり、各種のディスプレーに対応するために、極めて広範なディスプレーサイズ、グラフィックス解像度、グラフィックスハードウェア、GPUデバイスドライバが存在する。ディスプレーとグラフィックスはWindowsと不可分であるため、Windows 10 Technical Previewには既に多数の新しいグラフィックドライバやディスプレードライバが含まれている。
だが、ディスプレーの品質およびグラフィックスドライバの互換性が保証されているとは言い難い。例えば、Windows 10 Technical Previewを試したユーザーからは、「文字の品質が良くない」「小型のタブレットでは入力操作がやりづらい」といった批判も聞こえる。
マルチモニターのサポートにも不具合が見られるようだ。画面が拡張されるのではなく、同じ画面が複数のモニターに表示されるというケースもある。また、これまで普通に動作していたグラフィックスアダプターが正しく認識されなかったり、高度なアンチエイリアスなど一部のグラフィックス機能が利用できなかったりといった問題もあるようだ。
適切なグラフィックスドライバやディスプレードライバをインストールすれば、こうした問題の多くが解決すると思われるので、グラフィックスベンダー(米Nvidiaや米ATIなど)からWindows 10に対応したドライバアップデートやパッチが提供されていないか確認するといいだろう。Windows 10 Technical Previewの今後のリリースには、新しいグラフィックス/ディスプレードライバが優先的に含まれる可能性もあるが、当面の問題を解決するには、将来のWindowsリリースを待つよりもグラフィックスベンダーの対応状況を直接確認した方が早いだろう。
ただし、新しいドライバを用意していないベンダーもある。例えば、台湾ASUSは「Asus K551LB」シリーズのノートPCに対応したWindows 10 Technical Preview用ドライバをまだ提供していない。この状況はWindows 10の開発が進むのに伴って改善されるだろうが、テスト用にWindows 10をインストールする前に、Windows 10用ドライバがもう出ているのか、あるいはもうすぐ出る予定なのかをグラフィックスベンダーやシステムベンダーに確認することをお勧めする。
大抵のアプリケーションは多かれ少なかれOSに依存するため、OSのアップデートはアプリケーションに予期せぬ結果をもたらす可能性がある。重要な業務アプリケーションが影響を受けると、ユーザーの生産性が大きく低下する恐れもある。このため、従業員が使う最も重要なプログラムを使ってWindows 10をテストするのが賢明だ。
Windows 10 Technical Previewを使用すると「Microsoft Office 2010」などの業務ソフトウェアで問題が発生したというユーザーの報告もある。これを互換性問題と決め付けてはならない。アプリケーションの問題の多くは、修復ツールを実行するか、アプリケーションのアンインストールと再インストールを行うことで解決できる。問題が解決しない場合は、パッチやアップデートが提供されているか、あるいは問題を回避するための対応策があるのかをソフトウェアベンダーに確認するといいだろう。
Windows 10では、新しいビルドが利用可能になった時点で自動アップデートが行われるが、一部のユーザーからは更新プログラムの問題も報告されている。その多くは、レジストリの破損が原因だ。Windows 10フォーラムには、自動アップデートで不具合を引き起こす可能性があるWindows 10のレジストリ問題を検出・修正するためのガイダンスが掲載されている。ただし、新ビルドのリリース時には更新サーバの速度が著しく低下することがあるため、新ビルドのダウンロードとインストールが終わるまで気長に待つ必要があることを忘れてはならない。
アプリケーションに関する注意がもう1つある。社内のシステムで使用しているマルウェア対策ソフトウェアを忘れてならないということだ。マルウェア対策ソフトウェアもできるだけ早くWindows 10用にアップデートしなければならない。これを怠ると、互換性問題のせいでセキュリティツールが正しく機能せず、システムが感染や攻撃にさらされる恐れがある。
マルウェア対策ソフトウェアが正しくアップデートされるまでの間は、Windows 10 Technical Previewのユーザーは同OSに含まれている「Windows Defender」に頼る必要があるかもしれない。エンタープライズシステム管理ツールもアップデートまたはパッチの適用により、インベントリの確認とWindows 10システムの管理を正しく行えるようにしておく必要があるだろう。
忘れてはならない最も重要なことは、Windows 10はまだ最終製品ではないということだ。このOSは現在開発中であり、2015年末の一般向けリリースまでの間、開発サイクルを通じて進化を続けるのだ。言い換えれば、テスターはこの検証期間中、過度の期待を抱いてはならないということだ。Microsoftの開発者はWindows 10の各アップデート版を親切心から提供しているわけではないのだ。
テスターは多数の異なるハードウェアとソフトウェアの組み合わせに対して最新のビルドを試し、最終版がリリースされる前に問題を発見・修正する必要がある。例えば、スタートメニューが思ったように開かないという問題を指摘するユーザーもいれば、従来版のWindowsと比べるとWi-Fi接続に関するダイアログが煩わしいという不満を述べるユーザーもいる。要するに、道のりは平たんでないということだ。パフォーマンスの問題もあれば、不具合やクラッシュ、互換性問題といった頭痛の種も出てくるだろう。
こうした問題をきちんとメモして、問題に関する詳細をTechnical Previewのフォーラムに投稿するのもいいだろう。ただし、思い通りに動作しないからといって不満をぶつけるだけでは駄目だ。Windows 10のアップデートを通じて得た知識と経験は、社内のユーザーを指導する際に役立つはずだ。
ユーザーにとってWindows 10が登場するまでのTechnical Previewの検証期間は、Microsoftが可能な限り優れた製品を開発するのにユーザーが協力できる素晴らしい機会である。だが同OSは最終リリースからまだ程遠い状況だ。現時点で、全ての機能が動作する、欠陥のない製品を期待することはできない。
Windows 10のリリース前の最大の関心事が同OSに慣れることだと考えているユーザーの場合は、ビルドが成熟して安定するまでもう少し待つのがいいだろう。一方、今すぐにでも問題を洗い出したいという人には、本記事で指摘した問題点をチェックしていただきたい。
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