2015年06月17日 15時00分 公開
特集/連載

「ビジネス向けDropbox」の機能強化、本当にビジネスで使えるの?管理しやすいクラウドストレージへ

ビジネス向けDropboxは、「Active Directory」との統合強化や管理機能の拡充、セキュリティ強化などを打ち出した。果たして本当にビジネスで使えるサービスになっているのか紹介する。

[Jake O’Donnell,TechTarget]
ビジネス向けDropboxのWebサイト《クリックで拡大》

 米Dropboxは2015年6月初旬、企業向けオンラインファイル同期・共有サービス「ビジネス向けDropbox」の魅力を高め、顧客開拓につなげるため、重要な製品との統合強化や新しい管理の仕組みの導入といった取り組みを進めていることを発表した。

 Dropboxによると、ビジネス向けDropboxは10万社以上の企業が利用中。企業における同サービスの導入準備や展開を支援するために、米Microsoftのディレクトリサービス「Active Directory」との統合が強化された。DropboxはActive Directoryコネクタのβ版を一部の顧客に配布中だ。

 「ビジネス向けDropboxの展開では、ツールが管理のサイロ化(※)の一端を担う事態を回避することが重要だ。その点でDropboxとActive Directoryの統合は大きな意味を持つ」と、カナダの調査会社Constellation Researchの副社長兼主席アナリスト、アラン・レポフスキー氏は指摘する。

※部分最適が追求され、システムやサービスごとにばらばらに管理が行われる状態

 「Dropboxにおけるユーザーやグループといったものは、社内で運用している人事の記録システムと同期させなければならない」と同氏は付け加える。

 また、ビジネス向けDropboxのAPIも、フォルダ共有の新機能による拡張が進められている。既に米CloudLock、米Netskope、米Adallomといった情報漏えい防止(DLP)ソリューションのベンダーが拡張APIを使って、この新機能を自社ソリューションから利用できるようにするため連携機能の開発に着手している。

 さらにDropboxは、IT部門が利用できるビジネス向けDropboxの管理の選択肢を充実させるため、それぞれ異なる役割を持つ「チーム管理者」「ユーザー管理者」「サポート管理者」という3つの管理者階層を導入した。それぞれの役割は下記となっている。

チーム管理者 管理者とメンバー全員のタスクを管理ができる
ユーザー管理者 メンバーのアカウントの追加、削除、管理ができる
サポート管理者 パスワードのリセット機能といったサポートができる

 IT部門はユーザーチームのメンバーをこれらの管理者に指名し、該当する役割を割り当てることで、日常的な管理を分担できる。

 Dropboxは新しいエンタープライズインストーラーも提供を開始し、IT部門がビジネス向けDropboxを任意のWindowsデスクトップにリモートで展開する作業を自動化できるようにした。

 Dropboxはセキュリティに関しても、ビジネス向けDropboxがISO(国際標準化機構)認証機関であるEY CertifyPointから、「ISO 27018」の認証を受けたことを最近発表している。ISO 27018は、クラウドにおけるプライバシーと情報セキュリティに関する国際標準である。

エンタープライズ対応を進めるクラウド型ファイル同期・共有サービス各社

DropboxからMicrosoft Officeファイルを編集できる(TechTargetジャパン記事「Dropboxに保存のOfficeファイル、オンラインで編集可能に」より)《クリックで拡大》

 企業向けファイル同期・共有サービス事業者の中で、もともと消費者向けに事業を展開していたが、新機能で企業ユーザーの支持を拡大しようとしている企業はDropboxだけではない。米Boxは2015年、顧客が暗号鍵を高度に管理できる「エンタープライズ向け暗号鍵管理(EKM)」機能を導入。米Googleも2014年、オンラインストレージ「Googleドライブ」からオンラインオフィススイート「Googleドキュメント」で「Microsoft Office」ファイルを開き、ネイティブ編集ができるようにした。

 こうした製品の強みは、企業で使われている他の製品との統合が進んでいることにあると、レポフスキー氏は語る。

 「BoxとOffice 365の連携機能は多種多様なものが利用されている。Dropboxは、ビジネス向けDropbox APIを使ってソリューションを構築する開発者の強力なコミュニティーを擁している」(レスポフスキー氏)

 さらに、DropboxとMicrosoft技術を連携させるコネクタもたくさんある。これらのコネクタでは、OfficeアプリケーションからDropboxアカウントのドキュメントに直接アクセスしたり、DropboxでOfficeファイルを直接編集したりといったことが可能だ。

 しかし、IT部門がDropboxのような製品を社内に導入する前提として、克服されなければならない課題がまだ残っている。例えば、米地方銀行Needham Bankのような組織では、「DropboxやBoxの消費者向けバージョンと企業向けバージョンの間には、一線が画されている」という保証を求めていると、同行の情報技術担当筆頭副社長を務めるジェームズ・ゴードン氏は説明する。

 IT部門の懸念を和らげるために、ビジネス向けDropboxでは、企業がファイル共有に制限を課すことができるようになっている。またユーザーは、個人用とビジネス用のDropboxアカウントのファイルをそれぞれ別の場所に保管しながら、これらのアカウントをリンクして、同一デバイスから両方のアカウントにアクセスできるようになっている。

 企業向けファイル同期・共有サービス市場では、DropboxやBox、Googleドライブだけでなく、多数のサービスがシェア争いを繰り広げている。その中には下記といった企業のサービスが含まれている。

  • Microsoftの「OneDrive for Business」
  • カナダのBlackBerryの「WatchDox」
  • 米Citrix Systemsの「ShareFile」
  • 米VMware傘下の米AirWatchが提供する「Secure Content Locker」

 ビジネス向けDropboxは最小契約ユーザー数が5人で、1ユーザー当たり月1500円(税別)。利用できるクラウドストレージ容量は、各ユーザー1Tバイトからとなっている。

 Dropboxはこれらの新機軸を発表した際、その導入時期や、導入に伴って料金が変更されるかどうかは明らかにしなかった。

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