企業でモバイルデバイスを使うのが当たり前になりつつある。その中、エンドユーザーにとって使いやすいアプリケーションは非常に重要だ。ユーザー視点のアプリケーション開発で重要な考え方を紹介する。
アプリケーションのデザインは、多くの企業において主要な戦略になりつつある。今日、顧客や社員は「エクスペリエンス(※)」の質に基づき、どの製品やサービスを使用するかを決定する。このためITの専門家や開発者は、優れたモバイルワークフローのエクスペリエンスをデザインする必要がある。
※ユーザーまたは顧客がある特定のタスクを完遂することを約束する一連の相互作用またはプロセス。
モバイルワークフローのデザイン方法としては、下記が知られている。
方法を何と呼ぼうと課題を解決する製品を作ることで重要なのは、顧客やエンドユーザーの立場に立つことだ。これは、質的および量的な顧客調査や複数の可能性のブレインストーミング、改良とテストを絶えず繰り返し実行するなどのプロセスである。
人間を中心に考えた発想法である「デザイン思考」の実際の価値は、複数の部署にまたがるチームがプロセスを通じてもたらすものの中にある。例えばチームは、内部の経験を積んだ設計者や外部のデザイン会社のメンバー、企業やIT部門の代表者、さらにはエンドユーザーや顧客で構成されるだろう。
デザイン思考における優れた手段として、顧客が購入に至るプロセスを可視化した「エクスペリエンスマッピング」がある。エクスペリエンスの設定として例えば下記のようなものがある。
このようなエクスペリエンスをマッピングすることで、顧客や社員が個別の道のりの各ステップに沿って考え、行動し、感じていることに対して理解が得られる。そして企業は、エクスペリエンスを改善する新しいプロセスと製品を開発するため、そのマップから収集した見識を使用することが可能だ。
組織はモバイルワークフローをサポートするアプリケーションの開発に、同様のデザイン思考のアプローチを取ることが可能だ。
例えば、私が以前の会社に在籍していたとき、販売業務に関するタブレットの利用方法を明確にしようとして、営業担当者とほんの数回一緒に車に乗って外出した。その担当者と一緒に幾つかのインタビューと定量分析をする中でノートPCに対するタブレットの優位性を知ることができた。顧客との会議の間、ノートPCは大きな邪魔物だった。ネットワークに接続するのに時間がかかるだけでなく、ノートPCを開くということが、営業担当者と顧客の間に物理的な障壁を作っていたのだ。それに比べ米Appleの「iPad」はより効果的で、顧客がiPadとのやりとりを楽しむことが分かった。顧客を関与させることは、閉じているプロセスの改善に役立った。
もし私が米Salesforceで仕事をするのにデザイン思考を使用しなかったら、営業担当者はノートPCの方がタブレットより速く文字入力ができることを評価し、ノートPCを使い続けていたかもしれない。企業は当然、タブレットを導入する必要はないと結論を下していただろう。デザイン思考を使用することで、私たちは共に仕事をし、販売とその後の対話式のアプリケーション向けにモバイルワークフローを作成することができた。
モバイルデバイスは、企業では当たり前のものだ。問題は、企業のアプリケーションの大部分が15年以上使用されてきたクライアントPC向けアプリケーションのモバイル版であることだ。モバイルが実際に提供する利点を生かすツールを開発するため、デザイン思考を使用するときが来たのだ。
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