「Operations Management Suite」に新機能
「Office 365」で大丈夫? と思う企業が使うべきハイブリッドクラウド環境管理ツールの実力(1/2 ページ)
「Office 365」は比較的成功しているが、導入に二の足を踏んでいる企業もある。「Operations Management Suite」の新機能は、こうした企業が抱いている懸念の一部を軽減しそうだ。
クラウドを利用した業務の成功事例は相次いでおり、クラウドへの移行が進んでいる。だが、多くの企業がクラウドベースの業務、とりわけMicrosoftの「Office 365」の利用に対していまだに懐疑的で、不信感さえ持っている。
企業のこうしたネガティブな見方に関しては、Microsoftの責任は少なからずある。同社のクラウド「Microsoft Azure」(以下、Azure)ではこの5年間、パフォーマンスの低さに苦情が出たり、アプリケーションがクラッシュしたり、他社の後追いの機能が導入されたり、理由が不透明なアクセス障害に顧客から不満が寄せられたりといったことが繰り返されたからだ。Azureは決してひどいクラウド環境ではなく、実のところ、かなり良くなっている。それでも、素晴らしいクラウド環境とはまだいえないはずだ。
Microsoftが2016年9月下旬に開催したカンファレンス「Microsoft Ignite」は同社にとって、Office 365とAzureの最近の改良により、Office 365のバックエンドへのアクセスのしやすさや、Azureにおける透明性の必要性に関する顧客の懸念への対応が前向きに進化していることをアピールする機会だった。
問題の核心は、ビジネスプロセスが中断されたり、期待通りに実行されたりしないと、顧客が不満を抱くことだ。そして、ビジネスプロセスを実行するサーバに顧客がアクセスできないことにある。Microsoftはこの点に対処する必要があった。
変更の監視および構成サービス
ソフトウェアやストレージをベンダーのサーバに預けることに伴う大きな問題は、ベンダーが自社の環境にパッチを当てたり、環境のアップグレードを実行したりする場合に、ユーザーとしてはその成功を祈るしかないことだ。では、そうしたパッチ適用やアップグレードにより、顧客のアプリケーションに支障が出ることがあるのだろうか。「SharePoint」でホストされたカスタムコードでは、その問題が起こることがある(しかも、極めて頻繁に)。そのコードが、広く普及した標準アプリケーションモデルに準拠しているとしてもだ。
オンプレミスのデータセンターとAzureにまたがるリソースの管理・保護をする、Microsoftの「Operations Management Suite」は、「顧客はサーバの状態が見えず、不意打ちを食らう場合がある」という問題に対処するためのサービスを新たに提供する。これにより、サーバ環境における変更は、顧客から見えるようになった。これは非常に便利だ。ただし、顧客が自分でサーバを直接扱うことはできない。Operations Management Suiteでサーバ環境の変更が見えるようになったことで、顧客はサービスの停止や劣化を簡単に予想できる。さらに、これまでは問題の根本原因分析ができず、顧客にとっては、それがOffice 365のアプリケーション導入の主要な障害になっていたが、根本原因分析への対応も進められている。これにより、アプリケーションが停止したり、パフォーマンスが低下したりした場合、その問題解決にかかる時間が大幅に短縮される。
ログの分析と自動化
クラウドユーザーは、自らの業務を支えているサーバを見たり、直接扱ったりすることはできない。このため、アプリケーションのトラブルシューティングや問題の診断に非常に有益なアクティビティログにアクセスできない。これはOffice 365ユーザーに共通の不満であり、多くの企業にとって導入のネックになっている。
表向きの建前はさておき、本音ではどのクラウドプロバイダーも、顧客がログを調べることは望まない。プロバイダー側のすぐに対処し得るエラーや、ずさんな運用が発覚するかもしれないからだ。
Microsoftは中間的なアプローチを取っている。Azure内のマシンのリアルタイムおよび時系列データに対して、顧客が検索によってアクセスできるようにしている。これにより、顧客はアプリケーションのクラッシュをトラブルシューティングしたり、パフォーマンスの問題を診断したり、問題発生時の対応の自動化を設定したりできる。
ただし、注意点もある。Operations Management Suiteは非専門家向けに設計されているため、拡張性がなく、スキーマが曖昧なことだ。“このスイートの効果はある程度限られている”と見るのが理にかなっている。それでも、このスイートが大きく進化していることは間違いない。
また、Azure内では、Operations Management SuiteはVMware、「Windows Server」、その他のOS環境に対応している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[株式会社ラクス] どうすれば「変革を楽しむ組織」になれるのか? 事例に学ぶ、未来への一歩 -
製品レビュー
[デル・テクノロジーズ株式会社] 変化するサイバー脅威に備える、これからのストレージの選び方 -
事例
[サイボウズ株式会社] 受注約1.5倍と年間2万3000時間超の業務時間を削減、日機装に学ぶDX実践術 -
製品レビュー
[サイボウズ株式会社] 人材不足にどう挑む? ものづくり太郎が語る、製造現場でのAI活用成功の鍵 -
市場調査・トレンド
[グーグル・クラウド・ジャパン合同会社] 金融機関はAIエージェント導入でどう変わる? 7つの変化から19の事例まで解説
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
Microsoft 365侵害企業の9割はMFA導入済み 1002人調査で見えた盲点
-
2
RAGで「データをAIに送る」運用が限界を迎えている理由
-
3
いまIBM iエンジニアが直面する「5つの技術的課題」とその解決策
-
4
セキュリティ担当者“試練の1週間” 「PHP」脆弱性と認証局の失態が同時発生
-
5
PHPはそもそも必要か? 脆弱性で問われる自社サイト安全性と保守負担のバランス
-
6
SAPの負荷増に苦しむZeissが「リアルタイム分析」「安定運用」を両立させた道
-
7
「Kubernetesプラットフォーム」に関するアンケート
-
8
なぜ「Claude Code」拡張は消しても危ないのか? Cursorで不正版配信
-
9
なぜストレージ不足は長引くのか? 77%が「12〜18カ月続く」と予測
-
10
【基本情報技術者試験】データ消失リスクを防ぐ3つの「バックアップ手法」を比較
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
2
侵入から横展開まで27秒の脅威にどう立ち向かう? 防御のカギがEDRの理由
-
3
有識者が語る、中堅中小企業に求められる最新のサイバーセキュリティ対策とは
-
4
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
5
10G回線の真価をフルに享受するには? 導入前にチェックしたいポイント
-
6
なぜAIは組織で定着しないのか? 全社展開を阻む「3つの壁」と突破のヒント
-
7
パスワードレスへの移行で失敗しないためには? 導入・運用上の注意点を解説
-
8
自社のセキュリティ対策は大丈夫? 自己診断リストで対策の優先順位が分かる
-
9
ランサムウェア攻撃“究極の対策”はこれだ
-
10
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー