最高情報責任者(CIO)は情報資産管理を怠りがちだ。だが、他部門はビジネス決定を左右する質の高いデータに関心を寄せている。
かつて、CIOの仕事は社内にあるコンピュータ関連のあらゆる資産を管理することだった。CIOはハードウェアとソフトウェアの管理責任を負い、その範囲はイノベーションとともに拡大した。電気通信にデスクトップPC、データストレージ、シューズボックスみたいな携帯電話、小型化した携帯電話、ノートPC、タブレット、ホットサイト、コールドサイト、オフサイトデータウェアハウス、そしてクラウドに至るまで、全てをCIOが管理していた。
ところが、“情報”に責任を負うべきCIOがいつしか電子“情報”の資産管理を怠りがちになってきている。ストレージコストが安価になったこともあり、企業のデータ資産が保存しっ放しで放置されているのである。こうしたデジタル資産は現在、脆弱(ぜいじゃく)性とリスクの原因にもなっている。
保存されているデータは攻撃者の標的になりやすいだけでなく、敵対的訴訟者や捜査当局から開示を要求される可能性もある。捜査ツールの進化に伴い、企業が不祥事を隠すことはますます難しくなった。1通の電子メールが倫理に反する行為や不法行為の証拠となり、処罰を受けることにもなりかねない。
だが、デジタル資産は単なる厄介な重荷ではなく、メリットもある。その1つは、データ資産からより良い意思決定につながる知見を引き出して競争優位性を獲得できること。もう1つは、電子情報を実質的な対価を得る資産として活用できることだ。一部の企業はそうした情報をキャッシュなどと交換可能なことに注目している。ところがCIOはなぜか、そうした機会をあまり追求しようとしていない。通信やコンピュータのインフラばかり管理して、データ資産の管理をなおざりにしていることが多い。どんな会社であれ、誰も管理していない資産はいずれ誰かが手に入れるものだ。
これまで情報資産管理の主導権を切望してきたのが法務部門だ。特に記録管理と“情報ガバナンス”という新しい概念にとって情報資産は重要になる。彼らの主な目的は、自社の利益を阻害し得るデータを破壊することにある。データの量は膨大で、インデックスやメタデータの不備も多く、法的手続きのための情報を掘り起こすのに企業は莫大なコストを投じている。
最高コンプライアンス責任者も、法務部門とともに情報資産を管理したがっている。彼らにとってデジタル情報は、企業に課されるコンプライアンス要件の証拠記録だ。法令順守にも必要だが、契約条件、中でもサービスレベル契約における必要性が高まっている。
サービスレベル契約では、当該商取引関係における公正なサービス品質の提供を保証するためのパフォーマンスレポートが重視される。これは重要な運用データを継続的に開示する方向へと進んでいる。
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