Gartnerが2017年8月にIT担当者向けに開催した「Gartner Catalyst Conference」では、一風変わった物語仕立てのアプローチが取られ、デジタル社会の未来に向けてIT担当者が構築すべきものが示された。
IT担当者にとってテクノロジーカンファレンスのパターンはもうおなじみだろう。ホールに列を成して入っていくと、そこはすし詰め状態で、残されたわずかな隙間を埋めるかのようにポピュラーソングが鳴り響く。照明に照らされ、大股で歩く講演者がステージに上がると、将来についての力強い宣言とスキルアップの呼び掛けに満ちあふれた基調講演が始まる。一般に、練り上げた計画をでたらめだと伝えることはない。
だが、2017年8月に米サンディエゴで開催された「Gartner Catalyst Conference」はそのような言葉で幕を開けた。
Gartnerのアナリスト、ダニー・ブライアン氏は、このイベントに集まった企業のアーキテクト、システムエンジニア、ソフトウェア開発者に向けて次のように話し出した。「現在、私たちが行っている設計は、仮定の話、建前、ひょっとするとでたらめなことを根拠にしているのではないだろうか。私たちは次のようなことをよく口にする。スケーラビリティを目標に設計している。安定性を確保するために設計している。アジリティーのため、コストのため、セキュリティのため。そう、目指すものはさまざまだ。だが、実際のところ、こうしたものはアーキテクチャが目指す根本的な目標ではない」
ブライアン氏と同僚のアナリスト、ミンディ・カンシラ氏は、この「機能ではない包括的な要件のリスト」ではなく、より高いハードルに感じられるITアーキテクチャの3つの目標を提示した。それは、正確性、廃棄可能性、自律性だ。つまり、IT担当者は、具体的なビジネスの問題を解決でき、需要を満たせなくなったら廃棄可能な、テクノロジーの力をユーザーの手に委ねるシステムを構築する必要があるという。
仕事のやり方を見直すべきときが来ている。そのことを伝えるこのメッセージが、IT担当者の注目を集めることは間違いない。だがブライアン氏とカンシラ氏の「3つの鍵」から成るプレゼンテーションには他にも印象的な点があった。それは、伝えられた物語と各アナリストの間に個人的結び付きがあることだ。さらに、ビデオ映像を使用してメッセージを伝えるという革新的な方法も際立っていた。
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