Microsoftは同社の「Cortana」をコラボレーションプラットフォーム「Microsoft Teams」に統合する予定だ。音声アシスタントが企業に普及する小さな一歩になるだろうか。結論が出るのはまだ先のことだ。
小売店や政府機関を訪れたことのある人なら誰でも経験することだが、音声アシスタントは顧客にサービスを提供する方法を大きく変えている。音声アシスタントとは、人工知能(AI)を利用して音声をコンピュータ言語に変換する自動化ソフトウェアのことだ。この音声アシスタントが企業従業員の役に立つかどうかは定かではない。
だが、Microsoftは役に立つと考えている。Microsoftは同社のコラボレーションプラットフォーム「Microsoft Teams」(Teams)に同社のAI音声アシスタント「Cortana」を統合することを発表した。Teamsは「Slack」の競合製品に当たる。
この統合によって、従業員は自然な話し言葉を使って電話をかけ、会議に参加し、会議に他のメンバーを招待できるようになる。この音声アシスタント機能は、2018年後半にノートPC、IP電話、会議室用デバイスで利用可能になる予定だ。
Gartnerのバイスプレジデント兼アナリストのクレイグ・ロス氏は次のように話す。「この機能が人間とコンピュータとのより自然な対話の実現に向けた道しるべになると考えている。今回公表された(音声コマンドによって)名前を追加し、電話をかける機能は、価値ある第一歩になる」
熟練の秘書のような音声アシスタントという高度なビジョンが今後の目標であることは変わらないと同氏は話す。だが、そこに行き着くには段階的な手順が必要だと同氏は考えている。テクノロジーの向上も必要だが、ユーザーがPCを単なる道具ではなくアシスタントとして扱うことに慣れることも必要だ。
「現時点でMicrosoftが行わなければならないのは基盤の確立だ。つまり、電話をかけ、名前を追加し、会議を開催するための簡潔かつ正確な音声アシスタントを実装することが同社に求められている。それが音声アシスタントの進むべきロードマップやビジョンになる」(ロス氏)
Constellation Researchでバイスプレジデント兼プリンシパルアナリストを務めるアラン・レポフスキー氏は、現在のCortanaの比較的単純な音声入力機能は「音声対応コンピューティングとしてはレベルが低い」ことに同意する。だが、TeamsへのCortanaの統合は、Microsoftの差別化要因になると考えている。「Atlassian Stride」「Cisco Spark」「Googleハングアウト」、Slackのような他のエンタープライズコラボレーションツールにはチャットbotが統合されているが、音声コマンドは統合されていないと同氏は言う。
同氏は、音声アシスタントがコラボレーションプラットフォームなどのソフトウェアに統合されることで、従業員が音声アシスタントをデジタル伴侶と考えるようになることを期待している。
「音声アシスタントの統合によって、会議への参加者の追加、質問への回答、ファイルの添付といった既存のワークフローの効率が上がるだけではない。従業員が新しい方法でコンテンツ、人、プロセスを発見できるようにもなる」とレポフスキー氏は話す。同氏はその例として、Cortanaや他のAI音声アシスタントに対して、米国北部のトップクラスの営業担当者から成るグループを作成するよう求めているという。
レポフスキー氏によると、企業への音声アシスタント導入を阻む最大の壁は、音声アシスタントを使って何ができるかを従業員が把握しておらず、中にはこうしたテクノロジーが存在することすら知らない従業員もいることだという。
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