キャッシュに読み込めばオフラインでも稼働する
「Microsoft App-V」で見るクライアント型“アプリケーション仮想化”の仕組み
アプリケーション仮想化の世界は分かりにくい。Microsoft App-Vを詳しく見ることで、クライアント型仮想アプリケーションの仕組みを理解しよう。
「Microsoft Application Virtualization」(App-V)は、クライアント型アプリケーション仮想化方式を採用している。この方式では、仮想アプリケーションはリモートサーバではなく、エンドポイントで実行される。
App-Vのようなクライアント型アプリケーション仮想化製品では、アプリケーションは仮想化により、OSおよび他のアプリケーションから分離する。IT担当者は、仮想化製品のサーバソフトウェアと、ユーザーのエンドポイントにインストールした仮想化製品のクライアントソフトウェアにより、仮想アプリケーションの展開と管理をする。
クライアント型アプリケーション仮想化の特徴とApp-Vの仕組みを詳しく見ていこう。
併せて読みたいお薦め記事
アプリケーション仮想化とデスクトップ仮想化の違い
- 「アプリケーション仮想化」と「デスクトップ仮想化」の違いを比較
- 管理機能で比較する、デスクトップ仮想化とアプリケーション仮想化の主要製品
- アプリケーション仮想化ツール選びはここを見よ 重要な6つの検討事項
デスクトップ仮想化について
App-Vとクライアント型アプリケーション仮想化を知る
クライアント型アプリケーション仮想化は、アプリケーション間の競合や、OSのバージョンの違いによる互換性問題の防止に役立つ。アプリケーションのインストールとアンインストールを簡素化可能で、データセンターで仮想アプリケーションパッケージを作成し、社内全体のコンピュータに配信もできる。個々のコンピュータでインストールプログラムを実行する必要は一切ない。
App-Vは「Microsoft Desktop Optimization Pack」(MDOP)に含まれている。MDOPは、企業向けライセンス制度「ソフトウェアアシュアランス」の顧客に提供されるWindowsコンピュータ管理ツールだ。
仮想アプリケーションに欠かせないシーケンス
App-Vで仮想アプリケーションを準備するには、IT担当者はアプリケーションを「シーケンス」する必要がある。シーケンスとは、既存アプリケーションを基にしてPC端末用に仮想アプリケーション配信パッケージを作成するプロセスのことだ。
そのためにはPC端末上で「App-V Sequencer」ソフトウェアを実行しなければならない。その後、仮想化するアプリケーションをそのPC端末にインストールし、実行する必要がある。App-V Sequencerはアプリケーションを監視し、パッケージを作成する。このパッケージには、仮想アプリケーション本体と仮想アプリケーション実行に必要な構成ファイルが含まれる。
だがIT担当者は、あらゆるアプリケーションをシーケンスできるわけではない。例えば、シーケンスできないアプリケーションには「Internet Explorer」など、Windows標準のコンポーネントが含まれる。また、デバイスドライバや、ユーザーがシステムを起動したときにサービスを開始するアプリケーションもシーケンスできない。
仮想アプリケーション配信の仕組み
管理者はクライアント型の仮想アプリケーションパッケージを、電子ソフトウェア配布(ESD)システムや、App-V管理サーバのインスタンスを使ってPC端末に配信できる。ESDシステムを使う場合は、配信オプションが幾つかある。例えば、Windowsインストーラバージョンを直接クライアントPCに配布したり、パッケージをソフトウェア配布ポイントや「App-V Streaming Server」インスタンスに配布したりできる。
IT担当者は、App-Vの仮想アプリケーションが実行されるPC端末に、App-Vデスクトップクライアントをインストールしておかなければならない。App-Vのクライアントは、仮想アプリケーションパッケージの展開を管理し、仮想アプリケーションを受信する。仮想アプリケーションのパッケージのストリーミングを制御し、App-Vサーバとのやりとりなどを処理する。ユーザーから見ると、仮想アプリケーションは、ローカルにインストールされたアプリケーションのように動作する。
App-Vは、企業におけるアプリケーションの全社的な展開と管理を容易にする。新しいアプリケーションと競合する恐れがあるレガシーアプリケーションを展開したり、同一のPC端末で複数バージョンを共存させたりすることができる。ユーザーは仮想アプリケーションがキャッシュにストリーミングされたら、オフラインでもアプリケーションを使える。
IT担当者がApp-Vのクライアント型仮想アプリケーション配信モデルを使用するかどうかを判断する際は、ユーザーがどこで、どのようなデバイスを使って、どのように仕事をしているかを考慮しなければならない。また、アプリケーション仮想化の展開では、App-V以外の技術も使用する可能性もある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[サイボウズ株式会社] AIに何を聞いても「汎用的な答え」しか返ってこないのはなぜか? -
製品資料
[サイボウズ株式会社] なぜAIは組織で定着しないのか? 全社活用を阻む「3つの壁」の突破法 -
製品資料
[株式会社スタディスト] 「不適合品率」改善はどこから始める? すぐにできて効果が大きいポイントとは -
製品資料
[株式会社スタディスト] 食品ロスを利益に変える「現場標準化」のすすめ -
技術文書・技術解説
[株式会社スタディスト] チョコ停・ドカ停を防ぐ「事前対策」の進め方
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
いまIBM iエンジニアが直面する「5つの技術的課題」とその解決策
-
2
SAPの負荷増に苦しむZeissが「リアルタイム分析」「安定運用」を両立させた道
-
3
Microsoft 365侵害企業の9割はMFA導入済み 1002人調査で見えた盲点
-
4
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
5
8割がアナログに逆戻りする“やっぱりな理由” DXを阻む2つの落とし穴
-
6
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
7
なぜMicrosoftは「Rust」を標準言語に? AIで進むC/C++書き換えの課題
-
8
「データのバックアップ」に関するアンケート
-
9
「セキュリティ運用と侵入後の初動防御」に関するアンケート
-
10
【専門家に聞く】表計算の限界を突破するロイヤリティ管理のスマートな手法とは?
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
2
顧客対応自動化の要点:RAGとデータ連携で“業務で使える生成AI”にする方法
-
3
侵入から横展開まで27秒の脅威にどう立ち向かう? 防御のカギがEDRの理由
-
4
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
5
マンガで解説:情シスの負担を減らす「MDRサービスのインシデント対応」の中身
-
6
有識者が語る、中堅中小企業に求められる最新のサイバーセキュリティ対策とは
-
7
10G回線の真価をフルに享受するには? 導入前にチェックしたいポイント
-
8
なぜAIは組織で定着しないのか? 全社展開を阻む「3つの壁」と突破のヒント
-
9
ランサムウェア攻撃“究極の対策”はこれだ
-
10
パスワードレスへの移行で失敗しないためには? 導入・運用上の注意点を解説
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー