Cisco Webex Teams、Symphonyも採用
暗号鍵を企業が管理? Slackが注目する「鍵管理機能」とは何か
Slackは企業向けの“鍵”管理機能を提供する。詳細なデータ暗号化の管理可能にして大企業へサービスを拡大することが目的だ。
Slackは、企業に暗号鍵を管理させることで、セキュリティをより強固なものにしようとしている。この機能は現在、一部の大企業向けに提供しているが、スタートアップ企業が市場での存在感を示すためにも役立つだろう。既にSlackは、コラボレーションアプリで使用するメッセージやファイルを暗号化しているが、大企業向けのプランの「Enterprise Grid」を利用している企業に、その暗号化を解除する鍵を制御させる予定だ。
調査会社IDCのアナリスト、ウェイン・カーツマン氏は「Slackにとって鍵管理機能の提供は、セキュリティ要件の増加に対応するための重要な一歩だ。もちろんこの機能を提供した影響で速度が落ちたり、利便性が落ちたりしないことが条件だ」と述べる。
Slackのエンタープライズ製品のディレクター、イアン・フランク氏は「将来このサービスを拡張して、オンプレミスまたはプライベートクラウド向けのハードウェアセキュリティモジュールによる認証をサポートする可能性がある」と語った。
コラボレーションツールの「Cisco Webex Teams」は、企業がオンプレミスまたはクラウドの暗号鍵を管理できるようにしており、エンドツーエンドの暗号化も提供している。
コラボレーションアプリ「Symphony」は、エンドツーエンドの暗号化と企業による鍵管理を提供している。このアプリは、一般的に厳格なコンプライアンスと規制基準を持つ銀行などの金融機関の固有ニーズに対応している。
これらと対照的に、Slackは転送中および休止中のデータのみを暗号化する。つまり、クラウド内の特定のポイント(ルーティングポイント)ではデータが復号される可能性がある。だが、Slackは検索や高度なアプリ、botの機能に影響が出るという理由から、この暗号化のモデルを変更するつもりはないという。
調査会社ZK Researchの創設者で主席アナリストの、ゼウス・ケラバラ氏は「Slackのケースでは、顧客に顧客自身の鍵をコントロールさせる最初のステップとしては適切だ」と述べている。最終的には企業が独自のデータセンターに鍵を格納し、最終的にエンドツーエンドの暗号化も利用できるようにする必要がある、と同氏はいう。
「Slackの企業向け鍵管理機能は、Slackを経由して実施される外部の通信で役立つだろう」と調査会社Constellation Research社の副社長兼アナリストのアラン・レポフスキー氏は述べる。
複数の企業がSlackの共有チャネル経由で通信する場合、チャネルを確立した企業が暗号鍵を制御する。
「外部を経由する通信では、セキュリティとプライバシーの確保が重要なため、これは非常に重要な事例になるだろう」とレポフスキー氏は言う。
Slackは2018年冬には、Enterprise Gridの顧客が企業向け鍵管理機能を購入できるようにする予定だ。
大企業への訴求
Slackは、チームや中小企業向けの基盤を拡張したEnterprise Gridの提供を2017年に開始した。大規模な組織は、この基盤を使用して複数のSlackワークスペースを統合的に管理できる。
2018年1月にエンターテインメント事業を担う21st Century Fox、小売業のTarget、金融機関Capital One、IBMなど150社以上の企業がEnterprise Gridを導入したとSlackは発表した。Slackが大企業からより多くの契約を獲得しようとする中で、既に企業市場に深く浸透しているベンダー、特にCisco SystemsやMicrosoftとの競争に直面している。
Cisco Systemsは最近、1億4000万人のユーザーを持つオンラインミーティング基盤であるWebExにチームコラボレーションアプリを連携させた。Microsoftは積極的に「Microsoft Teams」の機能を構築している。「Office 365」の生産性向上ツールと連携しており、1億3500万人が利用している。
「企業向け鍵管理機能は、企業のニーズにより的確に対応しているため、Slackにとって重要な追加機能だ」とレポフスキー氏は述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[株式会社マクニカ] アイカ工業に学ぶ脆弱性対策 情シスが把握できずにいたアセットも正確に把握 -
製品資料
[株式会社マクニカ] 「脆弱性総まとめ」解説 被害事例から考える必須の対策ポイント -
製品資料
[Splunk Services Japan合同会社] サイバー脅威「トップ50」完全解説ガイド、新たな攻撃手法に対抗するには -
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」完全ガイドブック:メリットから資格取得のポイントまで -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] はじめての「自治体/官公庁入札」 必要な知識がすぐに学べる入門ガイド
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
2
「ITインフラとデータ保護・バックアップ対策」に関するアンケート
-
3
Oracle巨大ITプロジェクトはなぜつまずいたのか 8年で導入1割、追加で170億ドル
-
4
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
5
エージェンティックAIで、コンタクトセンターの「おもてなし」をどう進化する?
-
6
「AI活用を前提とした業務PCへの移行」に関するアンケート
-
7
「企業内サーバ環境の利用実態」に関するアンケート
-
8
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
9
「Microsoft 365」が乗っ取られる 跡形もなくMFAを破る手口
-
10
「VMware離れ」は本当か 3000社がVCF 9にかじを切った現実的な理由
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
2
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
-
3
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
4
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
5
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
6
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
7
PostgreSQLの「機能」「性能」「運用」「拡張性」に関する悩みの解消法
-
8
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
9
Macの安全神話は崩壊? 最新の脅威動向から見えた攻撃のトレンドと有効な対策
-
10
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー