熟練の技術者が管理職になるケースもあれば、技術系のキャリアを貫くケースもある。しかし誰しも、本当にこの選択が正しかったのか迷う日が来るだろう。本稿では、技術職から管理職に転身した筆者が「管理職の実情」を解き明かす。
生命保険業界にはこんな格言があるという。
「人は成功した途端、その成功をもたらした仕事をしなくなる。電話をかけなくなり、商談の予定を入れなくなる」
これは生命保険業界に限ったことではない。IT業界でも同じだ。プログラム開発に熟練した技術者は次のキャリアアップとして管理職になることを選ぶ。実際、多くの開発者が管理職を目指している。残念ながら、大多数の開発者は管理職になるためのスキルも経験もない。才能ある開発者がダメ管理者になった例はごまんとある。
かくいう筆者も管理職に転身した1人だ。私の場合、管理職の収入と地位が魅力だった。「一介の開発者」で終わりたくなかった。ひとかどの人物になりたかった。ステータスがほしかったし、収入アップにも引かれた。自分にもっと自信があったら違っていたかもしれない。
管理職の仕事はしばらく続けた。それで分かったのは、中間管理職の仕事の大半は駅の案内所で乗客に乗り場を案内するようなものだということだった。違うのは、何時に何番線から発車するかを教えるだけでなく、全ての乗客を正しい便に乗車させる責任も負うところだった。
管理職への転身はそれなりに成功し、経営にも参加した。従業員をくびにしたこともある。しかし、しばらくして、自分はやはり新しい技術を学んだり、その知識を生かして何かを作ったりする方が好きだということに気付いた。気付くことができたのはよかったが、それをはっきりと自覚するまでずいぶん時間がかかってしまった。管理職の高収入と地位には抗しがたい魅力があった。
もっと大きなIT企業に転職しようという野心でもあれば、また別だったかもしれない。大きな企業は、クリエイティブな人材にも管理職と同じだけの地位と報酬を与える企業文化がなければ生き残れないことを認識している。例えば、Microsoftには管理職と「インディビジュアルコントリビューター」という2種類のキャリアパスがあり、「ディスティングイッシュトエンジニア(優秀技術者)」の等級と地位は「バイスプレジデント」と同等だ。報酬基準も同じで、年収90万~125万ドルだという。GoogleやFacebook、Appleなどの大手IT企業はどこも同じような制度を設けている。そうした会社で働けたら幸運だ。
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