MicrosoftとIDCの調査によれば、AI技術をビジネスの中核で活用する日本企業は1割未満にとどまる。企業はAI技術による生産性向上を期待している一方、ツールや人材の不足が活用の妨げになっている。
ビジネスでのAI(人工知能)技術の活用に期待を寄せる企業が多い一方で、導入はあまり進んでおらず、インフラや人材などの面で課題が残る――。MicrosoftとIDC Asia/Pacific(IDCのアジア太平洋地域に属する各地域法人)が実施した、ビジネスにおけるAI技術の利用状況調査の結果だ。本稿では、日本を含むアジア太平洋地域の企業の経営層および従業員を対象としたこの調査結果から、日本企業の回答を中心に紹介する。
日本企業はAI技術を導入することで、新たな自社製品・サービスの創造や生産性の向上などのビジネス改善につなげられると期待している。本調査では「従業員の生産性」「利益率」など5つの項目について、企業がAI技術を取り入れた場合、どの程度の改善効果が見込めるかを尋ねた。調査時点での5項目の状態や数値を基準とし、それらがAI技術を導入することで「現時点」(2018年)および「3年後」(2021年)にどの程度伸びると期待できるか数値を問い、平均値を算出した。
経営層および従業員の回答は「現時点」は11〜14%。「3年後」は27〜31%と、現時点と比べて2倍以上の数値となった(図1)。加えて「企業の競争力にAI技術は役に立つ」と回答した経営層の割合は73%だった。AI技術採用を後押しする要素としては、「競争力の強化」「イノベーションの加速」「生産性の向上」などが上位に並んだ。
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