プラスチック製造業のRoyal Technologiesは、VDIを使用せずにWindowsベースのレガシーアプリケーションを利用する方法として、アプリケーション仮想化ソフトウェア「Cameyo」を採用した。その理由とは何か。
業務用アプリケーションのモダナイズ(最新化)は厄介だ。クラウドサービスとして利用可能な最近のアプリケーションは、どこからでも簡単にアクセスできる。だがオンプレミスのレガシーアプリケーションをクラウドで使えるようにモダナイズする作業は、IT管理者にとって頭の痛い問題だ。
自動車や家具、家庭用品などに向けたプラスチック製品を製造するRoyal Technologiesのように、企業は一般的にこの問題を仮想デスクトップインフラ(VDI)で解決しようとする。組織で使用するデスクトップを仮想化すれば、従業員はどこからでも必要なアプリケーションを利用できるようになる。だがVDIの構築と保守には費用と時間がかかり、さらにVDIでレガシーアプリケーションを利用するにはITインフラの継続的な管理作業も必要になる。
Royal Technologiesの場合、レガシーアプリケーションをVDI環境に移すには「あまりにも移行要素が多かった」と、同社のITマネージャー、フレンチ・ウィリアムズ氏は語る。
そこで選んだのがアプリケーション仮想化ベンダーCameyoの同名ソフトウェアだ。CameyoはVDIではなく、Webブラウザでレガシーアプリケーションを利用できるようにする簡単な方法を提供している。これを利用すれば、PCとVDIの展開や管理をしなくても、従業員が好きな端末とWebブラウザでアプリケーションを使えるようにすることができる。
IT分野の調査会社Enterprise Strategy Groupでシニアアナリストを務めるマーク・バウカー氏は次のように話す。「従来型のVDIプロジェクトの場合、ITインフラへの多大な投資と複雑な構築が必要だ。さらにそうしたITインフラは継続的に更新して管理しなければならず、障害やパフォーマンス低下が発生すれば多くのユーザーに影響が及ぶ」
バウカー氏によると、新しい仮想環境に適合するようにレガシーアプリケーションをモダナイズすることは不可能ではない。ただし、そのためにはレガシーアプリケーションを作り直さなければならないことが一般的で、その開発プロセスには膨大な時間と費用が掛かる。Cameyoを利用すれば「従業員の環境を進歩させながら、Windowsアプリケーションへの接続性も維持できる」とバウカー氏は説明する。
MicrosoftやCitrix Systems、VMwareは、レガシーアプリケーションのモダナイズとアプリケーション仮想化を支援する製品を提供しているが、「Windows」専用のものが中心だ。独自のOSや「Linux」、Googleのノート型端末「Chromebook」が搭載する「Chrome OS」を利用する企業が、各種のOSでレガシーWindowsアプリケーションを利用できるようにするのは簡単ではない。
Cameyoは、VDIの代わりにWebブラウザを使用することで、モダナイズの作業を簡略化する。Windows以外のOSを使用するユーザーにも、多様な端末からWindowsレガシーアプリケーションを簡単に利用可能にするという。「CameyoはMicrosoftのOSに縛られることなく、Windowsアプリケーションを利用できるようにする。MicrosoftやCitrix Systemsにはなかなかできないことだ」(バウカー氏)
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