RPAよりも高度な作業を自動化できる「インテリジェントプロセスオートメーション」には、どのような用途があるのか。カスタマーサービスと保険金請求処理、コンプライアンスの3つの用途を説明する。
ソフトウェアロボットを利用して業務プロセスを自動化する「ロボティックプロセスオートメーション」(RPA)ツールが普及しつつある。ただしRPAツールで自動化できるのは、システムで実行される単純な繰り返しの定型作業に限られる。そこで先進的な企業が注目しているのが、自動化システムに機械学習を始めとした人工知能(AI)技術を組み込んだ「インテリジェントプロセスオートメーション」だ。
前編「RPAの進化形『インテリジェントプロセスオートメーション』とは 2つの違いは」に続く本稿では、具体的な使用例を基にインテリジェントプロセスオートメーションの主要な用途と、導入の手順について説明する。
カスタマーサービスの改善と強化を常に必要としている企業は少なくない。顧客からの問い合わせや依頼を素早く解決することは、重要な課題だ。大規模な組織の場合、さまざまなシステムの間でプロセスと顧客データが分断されやすい傾向があることが、迅速かつ効果的なカスタマーサービスの実現を難しくする。
コールセンターの担当者は、1つの案件を解決するために複数の種類のシステムとデータにアクセスする必要がある。分断されたシステムとデータをつなぎ合わせて、より良いサービスを提供するための手段として、インテリジェントプロセスオートメーションに注目が集まり始めている。インテリジェントプロセスオートメーションは、オンプレミスとクラウドなど複数の環境をまたいだシステムの連結、データの自動処理、コンプライアンス(法令順守)、エラーの削減を支援する。
カスタマーサービスにインテリジェントプロセスオートメーションを活用すれば、単にシステムからシステムへデータを移動するだけでなく、NLP(自然言語処理)機能で顧客の要望の内容を理解することができる。これにより多数のシステムを少数のプロセスに統合し、顧客対応にかかる時間を短縮しやすくなる。
NLP機能を組み込んだソフトウェアロボットを利用すると、メールなどのドキュメントやチャットの会話を読んで理解し、適切なシステムや担当者に素早く取り次ぐことができる。同様に画像処理技術の「コンピュータビジョン」を利用すると、画像やビデオを処理して、それらに含まれる内容を理解し、顧客対応のときに役立つ情報に変換できる。
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