2020年02月25日 08時00分 公開
特集/連載

IBM Researchのギル氏が語る量子コンピュータの基礎理論と「IBM Q」の現在量子コンピューティングは実用化の局面

CES 2020にIBM Researchのディレクターが登壇。量子コンピュータのプログラミング方法を学ぶ必要性を訴え、量子コンピュータの基礎理論やIBM Qの現状を解説した。

[Cliff Saran,Computer Weekly]
iStock.com/solarseven

 米ラスベガスで開催されたCES 2020に、IBM Researchでディレクターを務めるダリオ・ギル氏が登壇して量子コンピューティングの今後10年を探るプレゼンテーションを行った。同氏は「指数関数的」に複雑化する問題を解決するために量子コンピューティングをどのように使うべきかについて考え始めるよう、開発者に促した。

 「今、量子コンピューティングは実用化の局面を迎えている。全ての世代の開発者が量子コンピュータのプログラミング方法を学ぶ必要があるだろう」

 ギル氏によると、業界が過去50〜60年の間に構築してきた情報技術体系は古典的情報理論として知られるもので、「0と1」を物理実装から切り離すものだという。「このように物理実装から切り離すことで、パンチカードもDNAも情報を伝達する手段となり得ることを理解できるようになる」と同氏は話す。この理論とムーアの法則が組み合わさることでビットが普遍的になり、ほぼ自由な存在になったというのがギル氏の見解だ。

 だが、情報を理解する新たな方法が生まれていると同氏は話す。「情報世界のビルディングブロックはビット――つまり0と1ではなくなり、量子ビットに変わる」という。量子コンピューティングのバックボーンを形作るのは「重ね合わせ」「干渉」「もつれ」という3つの考え方だ。重ね合わせについて同氏は「1枚のコインが回転している状態に少し似ている」と説明する。つまり「表」でも「裏」でもなく、その2つの組み合わせになるという。「従来型コンピュータでは、2枚のコインを回転させると表になる確率と裏になる確率は独立している」

 量子の世界におけるもつれという考え方は「1枚のコインが表のときもう1枚のコインが常に表であり、1枚のコインが裏のときもう1枚のコインが常に裏であるという状況が存在する」ことを意味する。つまり2枚のコインがもつれあっていて、それぞれの状態(表または裏)を個別に測定することはできない。ギル氏は次のように語る。「この特性は本質的に奇妙だが、物理的実体の性質を映し出している。そこに全宇宙における既知の局所作用を見ることができる」

 もつれと情報の世界には関係があると同氏は話す。「完璧な量子ビットが100個あり、それがもつれた状態だとする。このもつれた状態を0と1で全て表そうとすると、そのデータの格納に地球上の全ての原子を充てなければならないだろう。280量子ビットを備える量子コンピュータは既知の宇宙の全原子を必要とするだろう」

 量子コンピューティングの3つ目の特性が「干渉」だとして、ギル氏は次のように補足する。




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