「テレワーク向けVDI」の構築時に確認したい基本要件とは?HCIによる「VDI」設計のポイント【前編】

在宅勤務などのテレワークを実施する動きが広がる中、その手段として重要性が高まっているのが「VDI」だ。VDI構築時に必要なものは何か。どのように設計すればいいのか。基本的なポイントを紹介する。

2020年10月09日 05時00分 公開
[Kurt MarkoTechTarget]

 「VDI」(仮想デスクトップインフラ)の構築は、「HCI」(ハイパーコンバージドインフラ)の人気の用途だ。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡大して在宅勤務などのテレワークが広がったことで、VDIに対するニーズがかつてないほど高まっている。

 本連載は、リモートアクセス方法の種類、テレワーカーの分類、ハードウェアとソフトウェアの要件など、HCIでVDIを構築する際に考慮すべき点を取り上げる。HCIによるVDI設計のベストプラクティス、特定のVDI用途に対する設計の推奨事項も併せて紹介する。

テレワーク向けVDI構築で考慮すべきポイント

 テレワークを実施する従業員の増加を想定してVDIを構築するに当たって、幾つか考慮すべきポイントがある。例えば従業員がテレワーク先から社内のデータやアプリケーションをどのように利用するかを決定しておく必要がある。その点が明確になれば、VDI用のハードウェアやソフトウェア、サービスを選びやすくなる。

 HCIのハードウェアの要件は、仮想デスクトップのエンドユーザーである従業員がテレワーク中に担う業務の種類によって変わる。HCIでVDIを構築する際は、テレワークを実施する従業員をどのように分類するのかが重要になる。

 社内のデータやアプリケーションにリモートアクセスする方法は、2つに大別できる。VDIが主に実現するのは2つ目だ。

  • VPN(仮想プライベートネットワーク)などの安全な接続手段を使って、PCやスマートフォンといったクライアント端末で、社内のメールサーバやコラボレーションシステム、ファイルサーバなどにアクセスする
  • 画面転送プロトコルを使って、サーバで実行するデスクトップの画面を遠隔のクライアント端末に転送し、ローカルで稼働しているかのように遠隔のデスクトップを操作できるようにする

 VDIを利用するには、企業が独自にVDI用のハードウェアとソフトウェアを導入するか、クラウドサービスとして同様の機能を提供するDaaS(Desktop as a Service)を契約する。VDIのインフラを自社で構築するのか、DaaSを利用するのかによって、必要なコンポーネントに違いがある。VDIの自社構築には、下記のようなコンポーネントが必要だ。

  • 「Windows」の仮想デスクトップを実行できるx86サーバ群
    • 192GB以上のメインメモリを搭載し、4K(4000×2000ピクセル前後の解像度)ディスプレイを利用できることが理想的。CAD(コンピュータ支援設計)、動画編集、機械学習モデル開発など、グラフィックス負荷の高いアプリケーションを高速化できるGPU(グラフィックス用プロセッサ)を搭載していることが望ましい。
  • 大容量のストレージシステム
    • イメージファイルやエンドユーザーごとの個人データなどを格納できる容量を確保する。
  • 多数のエンドユーザーの同時利用に耐えるデスクトップ仮想化ソフトウェア
    • マルチコアCPUを複数積載したサーバで稼働し、多数のセッション(エンドユーザーによる接続の単位)を同時に維持できることが必要だ。

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