コロナ禍で進化するウェアラブルデバイス【第2回】
「Amazon Halo」のすごさとは? 電子カルテとの連携がもたらすインパクト
ヘルスケア用ウェアラブルデバイス市場にAmazon.comの「Amazon Halo」が新たに登場した。Amazon Haloがもたらす価値とは何か。同社はどのような戦略でヘルスケア分野に参入したのか。専門家の見解は。
第1回「Apple Watchが開拓した『ヘルスケア用ウェアラブルデバイス』活況の訳」は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)を背景に、ベンダー各社がヘルスケア用ウェアラブルデバイスに注目する背景を解説した。第2回となる本稿は、Amazon.comが2020年8月に発表したフィットネス用リストバンド「Amazon Halo」の特徴と、Amazon Haloから見える同社の戦略を紹介する。
「Amazon Haloが電子カルテと連携」のインパクト
Amazon Haloの大きな特徴は、電子カルテ(EHR:電子健康記録)ベンダーCernerとの提携によるEHR連携機能だ。患者はこのおかげでAmazon Haloが収集したデータを医療機関と共有し、EHRに直接追加できるようになる。調査会社Forrester Researchのアナリスト、ジェフリー・ベッカー氏は「こうした連携はユニークだ」と指摘する。
調査会社Frost & Sullivanのシニアインダストリーアナリストを務めるチャンドニ・マトゥル氏も「Amazon HaloとCernerの連携は医療機関にとって有益だ」とベッカー氏の意見に同意する。この連携によって得られるデータは、よりパーソナライズされた患者ケアに貢献する可能性があるからだ。
ヘルスケア用ウェアラブルデバイスとEHRの連携は、患者を自身の健康管理に関与させる「患者エンゲージメント」のトレンドを反映したものだ。患者エンゲージメントは、医療機関が目指す方向性でもある。データが豊富にあるほど、特定の患者向けに治療方針をパーソナライズしやすくなる。それは最終的に「『価値に基づく医療』(Value-Based Care)や『調整された医療』(Coordinated Care)の考え方に寄与する」とマトゥル氏は指摘する。
ベッカー氏は、Amazon Haloのもう一つの大きな特徴としてコミュニケーション支援機能の「Tone」を挙げる。Toneは機械学習を使って、エンドユーザーの声に表れた積極性やエネルギーを分析。自分の声が他人にどう聞こえるかをエンドユーザー自身が理解し、コミュニケーションや対人関係の改善につなげられるように支援する。Toneは「健康には身体的な健康だけでなく、社会的な(人間関係の)健康や精神的な健康も含まれる」という考え方に基づいている。
Amazon.comは、ヘルスケア分野で音声技術を利用したさまざまな取り組みを進めており「Amazon Haloはその戦略の次のステップだ」とベッカー氏は語る。同氏はAmazon Haloについて「Amazon.comがヘルスケア分野で音声技術に大きな賭けをしていることの現れだ」と指摘する。ベンダー各社は、さまざまな形で差異化を図ったヘルスケア製品・サービスを構築してきた。こうした中でAmazon.comは、主に音声にフォーカスしているというのが同氏の見方だ。
第3回は、ヘルスケア用ウェアラブルデバイスがオンライン診療でどう役立つか、医療従事者の経験を基に紹介する。
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