リソースを過剰に消費して他のワークロードの稼働に影響を与える「うるさい隣人」問題は、クラウドサービスの使用時にも発生する。主要な4つの対策を紹介しよう。
データセンターサービスでは、あるワークロード(アプリケーション)で物理サーバのリソースを過剰に消費することで、他のワークロードのパフォーマンスに影響を及ぼす「うるさい隣人」(ノイジーネイバー)問題がある。うるさい隣人問題はサーバ仮想化製品を使用する場合、特に注意が必要だ。前編「コロケーションでの傍若無人な『うるさい隣人』問題を防ぐ5つの対策」に続く本稿は、クラウドサービス使用時のうるさい隣人対策を説明する。
ユーザー企業がコロケーションサービスを使用する場合は、自社でハードウェアを専有するため、さまざまな対策を講じることができる。一方でクラウドサービスでは一般的に、複数のユーザー企業が同じハードウェアを共有し、膨大なワークロードを実行する。クラウドサービスの場合、ユーザー企業が単独でできる、うるさい隣人問題対策は限られる。
主要ベンダーのクラウドサービスは、コンピューティングリソースとストレージリソースの需要の変化に問題なく処理できるように工夫を凝らしている。ただしユーザー企業が使用するクラウドサービスの構成や契約内容によっては、必ずしもワークロードの要件に合致しない場合がある。複数のユーザー企業が同じ回線を使用するため、WANの可用性の問題も出てくる。
クラウドサービスのうるさい隣人問題に対処するには、以下のような対策が必要だ。
クラウドベンダーと契約するときは、各ベンダーがワークロードによるリソース使用量の増加をどのように処理するか確認する必要がある。クラウドサービスのリソースは無制限に使用できるわけではない。自社のワークロードの不適切な動作が原因で、他社のワークロードに悪影響を及ぼす可能性もあり、その場合には問題の解決が必要となる。クラウドベンダーが問題のあるワークロードの実行を制限したり、サービスの提供を中止したりする場合もある。リソース使用量が超過した場合のコストについても確認しておく必要がある。
他のユーザー企業のワークロードを詳細に把握することはできないが、クラウドサービスの総合的なパフォーマンスをある程度把握できれば、リソースの問題が発生する可能性を判断できる。問題が発生しそうな場合は、クラウドベンダーに詳しい調査を依頼して、問題の原因を調べてもらうことができる。
自社のワークロードに過失がないにもかかわらず実行に時間がかかっている場合は、クラウドサービスで稼働している他社のワークロードに問題がある可能性がある。クラウドベンダーは問題の重大度に応じて、問題を引き起こしているワークロードを制限するか、ベンダーが所持する別のデータセンターに当該ワークロードを移すか、当該ワークロードを停止することになる。IT管理者は、ベンダーが講じるうるさい隣人問題対策を確認するとよい。
クラウドベンダーによっては、ユーザー企業が使用可能なリソースの上限を最初から高く設定して、動的なリソース割り当てをしなかったり、リソース量を調整できなくしていたりする場合がある。ユーザー企業はリソースの割り当てをどの程度制御できるかを確認しておくことが必要だ。
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