クラウドサービスから外部へデータを移動させようとすると、高額の利用料金が掛かることがある。この主な原因は「エグレス料金」だ。
ユーザー企業がクラウドサービスのスペックと利用料金のバランスを取れるようにするために、クラウドベンダーは複数のコスト管理ツールや機能を用意している。とはいえ注意しないと、クラウドサービスの利用にかかるコストは高額になる一方だ。そのためIT部門は、クラウドサービスのコストに影響を及ぼす要素に常に目を配る必要がある。
クラウドサービスのコストを管理する上で見過ごしがちな重要な要素が、あるクラウドサービスから別のインフラへのデータ送信(エグレス)料金だ。クラウドサービスでデータを受け取る場合(イングレス)は料金がかからないこともある。ただしデータをクラウドサービスの外部に持ち出す際には料金がかかることが一般的だ。このエグレス料金は瞬く間に積み上がる恐れがある。
ユーザー企業がクラウドサービスの同じリージョン(地域データセンター群)内でデータの転送をする場合、クラウドベンダーはその料金を無料にする傾向がある。データがインターネット経由でリージョン外へと移動すれば、それがリージョン間での転送か、リージョンからエッジ(データの発生拠点)にあるコンピュータへの転送かにかかわらず、データ転送料金が生じる傾向にある。
クラウドベンダーはこうしたエグレス料金の透明性を保っている。ただしエグレス料金は高額になりがちだ。本稿はエグレス料金が高騰する仕組みを、例を交えて解説する。エグレス料金が抑えられずに増大するときには、何が起こっているのか。
教育機関は学習管理システム(LMS)のクラウドサービスへの移行を進めつつある。LMSは、幼稚園から高等学校、大学の学習者を対象としたシステムで、学習用のポータルサイトや教材、オンライン試験などを提供する。
学習者はLMSを使うことで、教員が録画した授業をいつでも視聴できるようになる。学習者にとっては便利になったが、教育機関が支払うクラウドサービスの料金には大きな影響を及ぼしている。
LMSで授業動画を保管するにはストレージコストが発生する。さらに学習者が授業動画を視聴するたびに、教育機関がそのエグレス料金を負担しなければならない。動画のデータ容量と学習者数次第で、エグレス料金が瞬時に大きく跳ね上がる可能性がある。
影響を受けるのは教育機関だけではない。あらゆる業種の企業がWeb会議を利用し、それらを録画して情報共有したり、欠席者に最新情報を提供したりしている。この場合もエグレス料金が増大する可能性がある。
動画のエグレス料金の課題に対処するには、Googleの「YouTube」といった無料で動画を公開できるサービスを利用するのも選択肢だ。ただし、こうした手法は新たな作業も伴う。コンテンツの共有にかかるコストを抑えるために最初に取るべき手法は、クラウドサービスで共有するコンテンツのサイズを小さくすることだ。
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