企業のクラウドサービス導入は、自社の事業内容や目標に合わせて注意深く取り組むことで、コストを抑え、投資対効果を最大限に高めることができる。そのために必要なステップを説明する。
企業はIT製品やサービスをなるべく効率良く、費用対効果の高い方法で導入したいと考える。それはクラウドサービスを導入するときも同様だ。
クラウドサービスの導入計画は、会社全体の事業戦略ではなく、IT戦略の一環として進められがちだ。費用対効果を高めるには、企業は組織全体の戦略に合わせてクラウドサービスの導入に取り組む必要がある。本記事ではコストを抑え、効果を高めるためのクラウドサービスの導入手順を説明する。
クラウドサービスの導入プロセスは、大きく5つの手順に分かれる。
調査会社Gartnerの予測によれば、世界のパブリッククラウド市場の規模は2022年には3546億ドルに達する。単純にこうした流れに追随して、現行のオンプレミスのシステムをそのままクラウドサービスに移すのではなく、優先度の高い業務に対象を絞ってクラウドサービスに投資することが重要だ。
例えば自社にとってカスタマーサービスとサプライチェーンの改善が他の業務よりも重要であるなら、まずそれらの業務で利用するシステムをクラウドサービスに移行させるところから始める。社内の全システムを一斉にクラウドサービスに移行させようとすると、大幅にコストが大きくなることに加え、実装するシステムが複雑になるため移行に時間がかかる。クラウドサービスを利用する対象業務の範囲は、現在のインフラだけでなく、将来の事業戦略も考慮して決める必要がある。
事業への影響の大きい業務やシステムの優先度を把握した上で、それぞれの課題を解決する技術を特定して、自社に適したクラウドサービスを選定することも重要だ。例えばEコマース(EC)企業は売り上げ予測の精度を高めるために、AI(人工知能)システムを選定することがある。サプライチェーンにおける商品の追跡を最大の優先事項だと捉えている小売業は、ブロックチェーン技術を導入する場合がある。このように事業の優先順位や意思決定の精度を高めたい分野に基づいてクラウドサービスの導入戦略を立てると、より大きな効果を得ることができる。
後編はステップ3以降を説明する。
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