「3D XPoint」をIntelと共同開発したMicron Technologyが、その製品化を活発化させ始めた。この動きは、Intel「Optane」が先行する新興メモリ市場に変化をもたらすのか。
新メモリ技術「3D XPoint」を用いたIntelの「Intel Optane」シリーズが、新興のメモリやストレージ市場で優位な立ち位置を占めている。ただしMicron Technologyによる3D XPointをベースにしたフラッシュストレージなど競合する製品が台頭することで、この情勢は変わる可能性がある。
「2022年には、Micron Technologyが3D XPoint製品で相当な収益を上げ始める」と、コンサルティング会社MKW Ventures Consultingのプレジデント、マーク・ウェッブ氏は予測する。ウェッブ氏は、Samsung ElectronicsやSK Hynixなどのメモリベンダーも、同様に新興メモリ市場に注力する可能性があるとみる。
「Samsung Electronicsが、この市場に参入しないとは考えられない」。ウェッブ氏は、2020年11月開催のバーチャルイベント「Flash Memory Summit 2020」でこう述べた。さらにSK HynixやWestern Digitalは「相変化メモリ」というメモリ技術の開発を進めていると語った。相変化メモリは、加熱や冷却により電気抵抗が変化する物質を利用してデータを書き込む。業界では、3D XPointも相変化メモリの一種として捉えられている。
3D XPointは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)とNAND型フラッシュメモリの中間的な特性を持ち、不揮発性とデータ読み書きの高速性を兼ね備える。もともと3D XPointは、Micron TechnologyとIntelが共同開発した。両社は合弁会社IM Flash Technologiesで3D XPointのウェハー(基板)を製造していたが、Micron TechnologyがIntelの保有株式を全て買い取り、両社の合弁事業は終了した。その後Micron Technologyは、Intelに3D XPointのウェハーを供給している。
Intelは、Optaneシリーズとして2017年にフラッシュストレージ、2019年にメモリモジュール(DIMM:Dual In-line Memory Module)を発売し、新興メモリ市場で独走状態にある。ウェッブ氏は「IntelはまだOptaneで利益を出していないが、今後の売り上げは着実に成長するだろう」と話す。ただしIntelだけではなく、Micron Technologyも3D XPointを採用したフラッシュストレージを発表しており(写真)、Intel独走の状況が続くとは限らない。
MKW Venturesの推計では、2020年の3D XPoint製品の総売上高は、約11億ドルになる見込みだ。内訳はDIMMが6億ドル、SSDなどDIMM以外が5億ドル。2024年には、3D XPoint製品の総売上高はIntelとMicron Technologyの合計で約36億ドルまで伸び、その約78%をDIMMが占めると同社は予測する。「3D XPoint製品の売上高は当初の予測よりも伸びていないが、他の新興メモリの出荷を確実に上回っている」(ウェッブ氏)
業界アナリストは3D XPoint製品の中で、フラッシュストレージよりもDIMMを重要だと見なしている。DRAMを安価かつ大容量で代替するDIMMは、フラッシュストレージよりもCPUに近接するため、アプリケーションの動作を高速化する効果が高くなる。
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