「テレワーク終了のお知らせ」が有能社員のやる気をなくすテレワークで分かり合えない企業と社員【後編】

行動制限下での一時的措置としてテレワークへ移行した企業にとって、制限がなくなればオフィスワークを再開させるのは自然なことだ。ただし無思慮な再開は従業員の士気をそぐ可能性があるという。それはなぜなのか。

2021年10月16日 05時00分 公開
[Joe O’HalloranTechTarget]

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 前編「『テレワーク』をやめたい上司の本音 『部下がちゃんと働かない』」は、リコーの欧州関連会社Ricoh Europeが2021年8月に発表した調査結果から、テレワーク中の従業員に対して欧州企業の意思決定層が抱く不満の内訳を紹介した。後編は、同調査の結果を基に、企業がハイブリッドワーク(テレワークとオフィスワークの組み合わせ)を取り入れ、従業員の士気を高める方法を紹介する。この調査は、Ricoh Europeが欧州全土で1500人の意思決定者を対象に実施した。

「テレワーク終了」に不安を抱く従業員

 調査結果によると、フルタイムのオフィスワーク復帰に不安を感じる従業員が少なからずいる。回答者の42%は、健康や安全への懸念から、国や自治体による行動制限が緩和された際にオフィスワークに戻すことについて「チームメンバーが不安を感じている」と答えた。同調査結果は、企業がこうした従業員の不安感を認識できなければ、士気が低下して優秀な人材を失う恐れがあると警告している。

 「通勤が減り、働き方の選択肢が増え、上司の信頼が得られると、従業員の士気が高まる」と、Ricoh Europeの最高経営責任者(CEO)であるデービッド・ミルズ氏は話す。「企業の意思決定者にはハイブリッドワークを成功させる責任がある」(ミルズ氏)

 ミルズ氏は「企業のビジネス成功のために、オフィスは極めて重要だ」とも考えている。「最適な生産性を保ったり、アイデアを生んだり、同僚との関係を築いたりできる文句なしの場所として、オフィスは今後も残り続ける」と同氏はみる。

 今回の調査結果を基に、Ricoh Europeはオフィスワークがプラスになる業務があることを認めつつ、「意思決定者は従業員のニーズの進化を認識することが不可欠だ」と主張する。同社の最高執行責任者(COO)、ニコラ・ダウニング氏は意思決定者に対して、コラボレーションの効率や生産性を高め、働く喜びを高めるツールを従業員に提供することを推奨する。

 Ricoh Europeは自社の従業員に対して、勤務時間の50%を在宅で、50%をオフィスで過ごすことを選べるようにするハイブリッドワークの方針を制定した。同社はこの方針により、従業員のワークライフバランスを支援する考えだ。

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