ランサムウェア攻撃の標的になった建築設計事務所のLEO A DALYは、暗号化されたデータを数時間で復旧させることができた。なぜ早期復旧が可能だったのか、その理由を探る。
ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃を受けたLEO A. DALY(LEO A DALYの名称で事業展開)は、ある方法によってデータを消失せずに済んだ。ネブラスカ州オマハにある同社は、数百人の従業員を抱え、30カ所以上の拠点を持つ国際的な建築設計事務所だ。バイスプレジデント兼CIO(最高情報責任者)のステファン・ヘルド氏によると、同社は2016年にランサムウェアに感染し、同社のネットワークにあったファイルのうち半分程度が暗号化された。
LEO A DALYはランサムウェア攻撃を受けた後、クラウドファイルストレージ「Nasuni」のバックアップと復元の機能を使ってデータを復活させた。ヘルド氏は「保守チームはランサムウェア感染前のスナップショット(特定時点の状態)にすぐに戻すことができた」と説明する。
「確実に脅威を排除できたのかどうか、被害の全容を把握できているのかどうかを判断するのに時間がかかった」とヘルド氏は言う。一方で以前の状態に復元する作業は、非常に簡単なものだったという。
LEO A DALYのITチームは、フィッシング詐欺(偽のメールやWebサイトを使った攻撃)をきっかけにして同社のネットワークを感染させたファイルを数時間で特定し、隔離した。ITチームは被害拡大に備え、攻撃が発覚した当日は泊まり込みで監視。その後、問題がないことを確認してから、バックアップを使ってデータを暗号化される数分前のバージョンに戻した。「データのバージョン管理を頻繁に実施していたため、復元作業は順調に進んだ」とヘルド氏は語る。暗号化されたデータが追加で見つかることもあったが、それも迅速に以前のバージョンに復元できたという。
この経験を踏まえて、ヘルド氏は「ランサムウェア被害に遭った場合は復元ポイントを見極めるのが難しい」と指摘する。ただしLEO A DALYの場合は、そう難しいものではなかった。「データが最初に暗号化された時点に戻ればよかった。追加で見つかった被害も含めて、わずかな復元作業で済んだ」と同氏は話す。
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