前編「大学が『屋外無線LAN』ではなく「プライベート5G」を選んだ納得の理由」は、California State University Stanislaus(CSU Stanislaus:カリフォルニア州立大学スタニスロース校)が、「LTE」(Long Term Evolution)および「5G」(第5世代移動通信システム)のプライベートネットワークである「プライベートLTE」「プライベート5G」を構築した経緯を解説した。同校のプライベートLTEおよびプライベート5Gは、米国政府が民間に開放した3.5GHzの周波数帯「CBRS」(市民ブロードバンド無線サービス:Citizens Broadband Radio Services)を利用している。
後編は、プライベートLTE/5Gを導入した結果、CSU Stanislausが得たメリットと今後の展望を紹介する。
CSU Stanislausで最高情報責任者(CIO)代理を務めるジェフ・チルロ氏によると、プライベートLTE/5Gは、構築段階で当初の期待を上回った。構築プロジェクトを開始した当初チルロ氏は、プライベートLTE/5Gの運用や既存ネットワークとの接続には数週間かかると想定していた。だが「その予想は間違っていた」と同氏は話す。
チルロ氏率いるIT部門は、プライベートLTE/5Gの基地局(Celona製)が数日や数週間ではなく、わずか数時間で設置できることを知って驚いた。プライベートLTE/5GとCSU Stanislausの既存ネットワークとの接続も比較的簡単にできたという。プライベートLTE/5Gは「十分な帯域幅と、有線LANに引けを取らない低さのレイテンシ(遅延)をもたらした」と同氏は語る。
CSU StanislausのIT部門はプライベートLTE/5Gによって、学生や教職員が持つ屋外での無線ネットワーク活用ニーズを満たすことに成功した。IT部門は今後、プライベートLTE/5Gを活用したIoT(モノのインターネット)センサー、監視用ネットワークカメラなどを設置する。
チルロ氏は、プライベートLTE/5Gが教職員の教育能力向上に寄与すると期待している。CSU Stanislausは、プライベートLTE/5Gを無線LANのバックホール(通信網を中継するネットワーク)として使用した。これはプライベートLTE/5Gの有力な用途だ。構築の容易さや通信の信頼性、受信域の広さは、プライベートLTE/5Gが無線LANを代替・補完する手段になり得る強みだと言える。
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