同じような用途に「5G」と「無線LAN」を使うことができるので、2つは競合する技術としてくくられることがある。ただしより細かく見れば違いが出る。判断のポイントは。
「5G」(第5世代移動通信システム)と「無線LAN」は、高速なデータ伝送などの特徴が似ている。ただし用途によってどう役立つかは異なる。前編「無線LANが役立たずのときに『5G』を使うべし その役割は限定的」は5Gが有利である分野、中編「無線LANではなく『エリア限定5G』を使うべき納得の用途」はどちらを使うべきか判断が難しい分野を紹介した。
既設の通信方法が何もない場所で、急に通信が必要になることがある。その場合は5Gと無線LANのどちらが適するのか。例えば野外フェスティバルや、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査会場などだ。
臨時会場はすぐに通信可能な設備を必要とするものの、その会場を閉じた後は一切通信を必要としない。そのためだけに時間とコストをかけてインターネット回線を敷設するのは、効率的とは言えない。
このような場合、バックホール(基幹通信網)に5Gを使っている事業者のネットワークを使うことで、臨時の高速通信を用意できる可能性がある。この仕組みはシンプルだ。会場に臨時で設置する通信機器を介して、ユーザーはインターネットや社内ネットワークに接続できるようになる。
5Gの実用化はまだ始まったばかりであるため、こうした5Gが役立つ用途は今後増えてくるだろう。もちろん5Gよりも無線LANなど他のネットワークが適することもあるので、企業は用途に応じて判断するのがよい。いずれにしても、5Gが出て選択肢が広がったのはいいことだ。
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