「Wi-Fi 6E」は「Wi-Fi 6」よりも広い周波数帯を使うことを前提にしている。ただしそれによって電波の妨害を避ける工夫も必要とされる。これは従来の無線LANとは異なる点だ。
無線LAN規格「IEEE 802.11ax」に基づく「Wi-Fi 6」の拡張版である「Wi-Fi 6E」が利用可能になることで、無線LANをより広い帯域幅で使える可能性がある。ただしWi-Fi 6Eの利用時には制約がある。その点は前編「『Wi-Fi 6E』に生じる重大な懸念とは? 『Wi-Fi 6』にはない問題」で紹介した。
電波規制を担う米連邦通信委員会(FCC)は、Wi-Fi 6Eが6GHz帯を使用する際の評価要件を定めている。これは6GHz帯を利用する電波同士が妨害することを避けるためのものだ。どのようなポイントを確認する必要があるのか。
FCCは屋内および屋外において、6GHz帯を使用する際の電波干渉を避けるための評価ポイントを定めている。屋内においては、例えば他の電波の有無を確認してから通信を開始する「LBT」(Listen Before Talk)機能など、干渉を避けるための手順「競合ベースプロトコル」の使用がある。
Wi-Fi 6Eの機器は、従来6GHz帯で使用されてきた通信よりも広い帯域幅を占有する可能性がある。そのため評価試験においては、周波数帯が重なる可能性のある全ての既存通信を対象に、干渉を評価する必要がある。
無線試験において、周波数安定性や電力制御、不必要な電波の評価などはエンジニアにとってなじみのある項目だ。それ以外にも、Wi-Fi 6E特有の試験項目もある。衛星や地上波放送のサービスが6GHz帯を使用している。それを前提に、Wi-Fi 6E機器は地平線から30度以下の高さで信号を放射しなくてはならない。Wi-Fi 6Eの機器は個々に異なる電力制限を設けている。接続する無線LANアクセスポイントの電力制限に合わせて、電力レベルを調整することも必要だ。
新しい無線の評価要件が加わることで、試験プロセスの複雑性は高まる。試験においては、対象機器から大量のデータを高速かつ正確なタイミングで収集し、レポートを作成する必要がある。そのため本来は、試験の運用を簡素化できるものでなければならない。エンジニアは評価項目の簡素化だけではなく、試験にかかる時間を短縮するため、試験に使用するソフトウェアの自動化も必要としている。
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