「SRE」がクラウドエンジニアの“真の相棒”になるために必要なスキルとは?「SRE」と「クラウドエンジニア」の違い【後編】

「サイト信頼性エンジニア」はクラウドエンジニアをサポートする役割として期待されている。両者が力を合わせて信頼性の高いクラウドサービス利用を実現するためのノウハウを紹介する。

2022年04月12日 05時00分 公開
[Chris TozziTechTarget]

 システムの信頼性を高めるためのエンジニアリング手法として、Googleが提唱した「サイト信頼性エンジニアリング」(Site Reliability Engineering:SRE)。現場でそれを担うのがサイト信頼性エンジニアだ。本稿で使うSREは後者を指す。SREはクラウドエンジニアとどう違うのか。両者の組み合わせによってどのようなメリットが生まれるのか。両者の違いに焦点を当てた前編「SREとはどのような職種か? クラウドエンジニアとは何が違う?」に続き、後編となる本稿は両者がチームを組んだ際の“相乗効果”を考える。

SREがクラウドエンジニアの“助っ人”として力を発揮するためには

 クラウドエンジニアと比較すれば、SREは考え方が違い、優先事項も異なる。だからこそSREは、クラウドサービスの信頼性を高めるために新たな方法を取り入れたいと考えるクラウドエンジニア部隊を支援するのに最適な職種だ。

 SREはクラウドサービスの信頼性の向上にどう貢献できるか。例えば、SREはクラウドサービスの停止につながる恐れがある「単一障害点」(Single Point Of Failure:SPOF)を特定するためのスキルがある。リスクになっている部分を見つけてクラウドサービスの信頼性を高められる。他にも、SREはクラウドサービスとオンプレミスのシステムを組み合わせることによって、いずれかに障害が生じた際にデータのバックアップを図れる。

 自動化や拡張の新たな手法を導入して、SREはクラウドサービスの運用方法を改善することもできる。SREとクラウドエンジニアが力を合わせれば、オープンソースのバージョン管理システム「Git」といったツールを使い、クラウド管理業務の自動化を目指せる。

SREに必須のクラウドスキルとは

 クラウドエンジニアをサポートする役割として、SREが持たなければならないスキルはどのようなものなのか。答えは、クラウドサービスの種類にもよるが、基本的には下記のスキルが考えられる。

  • マルチクラウドのオブザーバビリティー(可観測性)。SREは、複数のクラウドサービスを組み合わせた「マルチクラウド」、クラウドとオンプレミスのシステムを併用する「ハイブリッドクラウド」を観測するツールの利用方法を把握していなければならない。
  • クラウドデプロイメントの自動化。SREは、クラウドエンジニアと協力してクラウドサービスを使ったシステム開発の工程を自動化するためのスキルも重要だ。そのため、各種自動化ツールを使いこなせる必要がある。
  • クラウドCLI(コマンドラインインタフェース)。SREには、クラウドサービスのシステム内容を詳細に調べて信頼性の低下につながりかねない問題を解決するために、クラウドCLIツールの専門知識が求められる。
  • クラウドサービスの費用分析。SREは信頼性の維持・向上がミッションだが、費用とのバランスを考えなければならない。そのため、クラウドサービス関連の費用を分析し管理する方法の理解が不可欠だ。
  • クラウドサービスのセキュリティ。SREは、クラウドサービスの信頼性とセキュリティの両立を図るための能力が必要だ。具体的には、クラウドセキュリティ管理ツール「Cloud Security Posture Management」(CSPM)の利用方法や、クラウドサービスのアクセス制御の管理方法、攻撃のリスクを減らすためのネットワーク設定方法が挙げられる。

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