ウクライナのEdTechベンダーKeikiは、ロシアによる侵攻の戦渦の中でも事業を継続している。従業員が疎開する中で、どのように業務を進めているのか。
IT管理者にとって、戦渦の中でインフラを動かし続けなければならない事態は避けたい。ウクライナのEdTech(教育とITの融合)ベンダーKeikiの取り組みは、最悪の状況でも企業がレジリエンス(回復力)を持ち、事業を継続するヒントをIT管理者に与える。
Keikiは、幼児や未就学児を対象としたスマートフォン向け教育ゲームアプリケーションを開発している。同社はウクライナのITベンダーGenesisの後押しを受けて、2019年にキーウ(キエフ)で創業した企業だ。Genesisは起業支援を手掛けており、中東欧におけるIT企業の立ち上げに注力している。
ロシアが2022年2月に開始したウクライナ侵攻以来、Keikiの従業員はウクライナ国内の、より安全な複数の地域に散らばって仕事をしている。同社でオペレーションマネジャーを務めるアントン・ボンダレフ氏によると、安全な地域に移った従業員は、主に2種類のネットワークを使用して仕事をしている。ウクライナ西部の都市に移った従業員はアパートや借家に住み、高速の光ファイバーネットワークを仕事に使用。農村地域で働くことになった従業員は、利用できる有線インターネット回線の品質が低いため、「4G」(第4世代移動通信システム)を使ってネットワークに接続して業務に従事している。
こうした状況下にあるKeikiでは、当然のことながらコミュニケーションツールへの依存度が高まっている。ボンダレフ氏によると、同社は今回のウクライナ侵攻が始まってから本格的にコミュニケーションツールを活用するようになった。以前も使っていたものの、それほど頻繁ではなかったという。同社は、以下のツールを業務に役立てている。
ボンダレフ氏によると、Keikiは数社のパートナーから利用料金の割引を受けている。その結果これらのツールを取り入れやすくなっており、業務負担の軽減に役立っている。
Keikiはセキュリティ強化も推進している。「ロシアのハッカーによる攻撃のリスクが高まっているためだ」(ボンダレフ氏)。例えば同社は「ダークWeb」(特定の手段でのみアクセスできるWebサイト群)を監視し、やりとりを閲覧することで、同社がセキュリティ侵害を受けていないかどうかを調査している。さらにパスワード管理ツールも導入した。
後編も引き続き、Keikiの取り組みを基に、有事でも企業が事業を継続する方法を探る。
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