旧富士ゼロックス系の女性プログラマーが「DX」を主導するCIOになるまでFUJIFILM Business Innovation Asia Pacific女性CIOの挑戦【前編】

FUJIFILM Business Innovation Asia PacificのCIOであるヘンリエッタ・ヨウ氏は、自身のキャリアを通じて「人とのつながりを大切にした経営」を重視している。同氏がDX推進プロジェクトを通じて達成したことは。

2022年05月25日 10時00分 公開
[Aaron TanTechTarget]

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 ヘンリエッタ・ヨウ氏は、FUJIFILM Business Innovation Asia PacificのCIO(最高情報責任者)だ。同社は富士フイルムビジネスイノベーション(旧称:富士ゼロックス)の関連会社であり、アジア・オセアニア地域における各国販売会社を統括する組織となる。

女性プログラマーがDX主導役へ

 大学でITを専攻したヨウ氏は、1992年にプログラマーとしてFuji Xerox Singaporeに入社。2000年にはビジネスコスト最適化と効率化を目指す取り組みの一環として、ITシェアードサービス部門立ち上げのため、Fuji Xerox Asia Pacificに異動になった。

 当時のヨウ氏は、担当地域の全従業員に標準的な業務環境を提供するマネージドデスクトップサービスや、OracleのERP(統合業務)パッケージの導入などを担当していた。最近ではクラウドサービスの利用増大に伴い、リージョナルデータセンター(地域データセンター)の規模縮小プロジェクトに関わっている。富士フイルムビジネスイノベーションのクラウド移行戦略では、システムの拡張性や更新時期といった要素を重視している。

 クラウド移行に伴い、富士フイルムビジネスイノベーションはビジネスプロセスの変革を促すために、デジタルトランスフォーメーション(DX)の事務局を設置した。ヨウ氏はこの事務局の取り組みを主導する運営委員会の一員を務める。

 富士フイルムビジネスイノベーションのDXの取り組みは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に伴い、既に導入済みだったVPN(仮想プライベートネットワーク)やコミュニケーションツールなどを従業員に提供し、テレワーク体制を整える場面で実を結んだ。同社はコールセンターを運営し、ゼロタッチ(デバイス導入時に必要なツールをクラウド経由で自動配布、展開する手法)でPCやアプリケーションを提供していたため、「混乱なく業務を継続できる態勢が整っていた」(ヨウ氏)。

 一方で富士フイルムビジネスイノベーションはRPA(ロボティックプロセスオートメーション)の導入を推進し、ソフトウェアロボットのセットアップをグループ企業が支援して、大きな成果を挙げていた。これによってデータ分析の利用にも弾みがついた。データを活用してビジネスの意思決定における判断精度を向上させるため、データサイエンティストを増やす必要に迫られている。

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