米国の医療機関で、給与計算システムの移行後に給与支払いトラブルが発生。従業員から怒りの声が上がっている。何が起きたのか。双方の主張から探る。
2022年7月初旬、米国カリフォルニア州にある医療機関Santa Rosa Memorial Hospital(以下、Santa Rosa)で給与支払いトラブルが発生した。その背景にあったのが、給与計算システムの刷新だ。
Santa Rosaを傘下に持つ米国の医療グループProvidence St. Joseph Health(以下、Providence)は、系列医療機関50件以上の給与計算システムを新システムに移行させた。給与支払いトラブルが発生したのは、その直後のことだ。Providenceの説明では、ほとんどの給与支払いは間違っていなかったものの、一部には間違いや部分的支払いを示すものがあった。そのほとんどは手続き上の問題に起因しており、タイムカードの訂正フォームの提出が期限を過ぎていたことや、タイムカードで時間が申請されていなかったことが原因だったという。
Providenceのこうした見解に対して、Santa Rosaの正看護師であるピーター・ブラックナー氏は「全く事実に反する」と異議を唱える。ブラックナー氏によれば、給与支払いの問題を解決しようとしている職員は「多数いた」。従業員が提出した情報が間違っていたというProvidenceの主張には怒りを覚えたという。
同様の問題が発生した米国の医療グループSutter Healthは「給与計算システムの移行という大幅な技術刷新は複雑であり、その結果、給与計算に関連する問題が発生した」と説明。「私たちは未払いや支払額の問題を解決するために力を尽くしている。大多数の従業員には適切に給与が支払われている」と付け加える。
コンサルティングリサーチ企業Standish Group Internationalのチェアマンを務めるジム・ジョンソン氏によると、給与計算システムの導入で問題が発生することは珍しくない。これはデータ品質の問題が原因だとジョンソン氏は説明する。
ジョンソン氏によると、給与計算システムの導入が失敗する確率は、他のシステムよりも低くなる傾向がある。給与計算システムは「分かりやすいアプリケーション」(同氏)であり、導入担当者の同僚に直接の影響を及ぼすものであるため、導入担当者が「多少は共感を持ち、少し注意を払う」(同氏)からだ。
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