コンピュータビジョンなどのAI技術を使って、トラック運転手の漫然運転を防ぐ――。こうしたシステムの導入を進めるのが、道路と鉄道のメンテナンス企業Loramだ。そのシステムの中身とは。
道路と鉄道のメンテナンス企業Loram Maintenance of Way(以下、Loram)は、コンピュータビジョン(コンピュータで視覚を実現する技術)などの人工知能(AI)技術を持つベンチャー企業Nautoの力を借りることにした。トラック運転手の漫然運転(前方を見て運転してはいるものの、ぼんやりとして注意力を欠いた状態でいること)を減らすためだ。
北米に約500台のトラックを保有するLoramの運転手は、合計で毎日約1万4000マイル(約2万2530キロ)、年間約940万マイル(約1513万キロ)を走行している。トラック輸送の世界では、安全性が大きな課題となっている。トラック管理ソフトウェアベンダーのGPS Insightが2022年に実施した調査によれば、一般的なトラック運転手が起こす事故件数は、年平均4.5件に上る。
Loramの車両管理者を務めるグレアム・ローズ氏は、10種類ほどの候補を検討した後、Nautoの安全運行管理システムを試すことにした。ローズ氏は「当時、顔認識と本格的な漫然運転防止機能を搭載していたのはNautoだけだった」と説明。他のカメラも幾つかの違反行為を検知できたが、十分な漫然運転防止機能を含んでいなかったという。
Nautoの安全運行管理システムは小型カメラ装置を設置し、コンピュータビジョンを用いて、道路状況や運転手の行動を確認する。同社のCEO、ステファン・ヘック氏によれば、同社の安全運行管理システムは、運転の一部始終を記録する一般的なドライブレコーダーとは異なり、衝突や違反行為が発生した前後の30秒だけを記録する。
運転手が運転に集中していないときや車間距離が狭いとき、Nautoの安全運行管理システムは衝突の確率を判定。確率が30%を超えると、自動音声で運転手に注意を促す。衝突が間近に迫ると、警告音を鳴らす。視覚的なリスク評価スコアを生成し、運転手に自らの状況を把握させる機能もある。
中編は、Nautoの安全運行管理システムがLoramにもたらしたメリットを整理する。
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