従業員による「メッセージングアプリ」の業務利用が問題となっている。米国では罰金支払いに発展した。どのようなリスクが潜んでいるのか。
2022年9月、米規制当局は大手銀行に対し、行員がメッセージングアプリケーションを業務利用する際の監督不十分を理由に、罰金最大200万ドルの支払いを命じた。背景には、「WhatsApp」といったメッセージングアプリケーションの業務利用がもたらす重大なリスクがある。
「企業が従業員にメッセージングアプリケーションの業務利用を許可することは、コンプライアンス違反のリスクを高めるだけでなく、人為的ミスを起こすリスクをもたらす可能性がある」。こう語るのは、市場調査会社Informa Tech(Omdiaの名称で事業展開)でサイバーセキュリティのシニアプリンシパルアナリストとして働くリック・ターナー氏だ。
「例えば、新たな融資サービスの立ち上げを経営陣が検討しているという情報を同僚からWhatsAppで送られてきたとしよう。この情報を、社内の別支店で働く友人に転送したつもりが、誤って競合他社で働く旧友に送信してしまったらどうだろう」(ターナー氏)。他にも、サイバー犯罪者がメッセージングアプリケーションに潜伏して悪用するといった、サイバー攻撃や詐欺のリスクもある。
メッセージングアプリケーションの使用は、企業の評判に影響するだけでなく、実質的な財政損失も発生する可能性があるとターナー氏は指摘する。メッセージングアプリケーションの利用を問題視する理由について、同氏は次のように話す。「雇用主が使用を許可していないSaaS(Software as a Service)型アプリケーションを、従業員が勝手に業務で利用している例と変わりない。このような行為を厳しく取り締まる必要がある」
米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。
CMOはなぜ短命? なぜ軽視される? いま向き合うべき3つの厳しい現実
プロダクト分析ツールを提供するAmplitudeのCMOが、2025年のマーケティングリーダーに課...
トラフィック1300%増、生成AIがEコマースを変える
アドビは、2024年のホリデーシーズンのオンラインショッピングデータを公開した。
「ドメインリスト貸し」は何がマズい? サイトの評判の不正使用について解説
「サイトの評判の不正使用」について理解し、正しい対策が取れるにしましょう。