全ての従業員が同じ場所、同じ時間帯に働くことは、もはや常識ではなくなった。こうした中、新たな働き方として広がりつつあるのが「非同期型の働き方」だ。どのような働き方なのか。その始め方とは。
テレワークとオフィスワークを組み合わせた「ハイブリッドワーク」を採用する企業では、従業員によって働く時間帯や場所が異なることは、珍しくなくなっている。企業は、従業員がこうした「非同期型の働き方」をしながら進めるプロジェクトをどのように調整すべきか、最適なマネジメント手法を見極める必要に迫られている。
そもそも非同期型の働き方とは何か。本連載はその定義とメリットを整理した上で、非同期型の働き方で効率を上げるためのベストプラクティスを取り上げる。
非同期型の働き方は、チームで仕事を進める手法の一つだ。非同期型の働き方では、チームメンバーはリアルタイムかつ対面形式で集まってプロジェクトに取り組むのではなく、各自のスケジュールに合わせて割り当てられた作業に取り組む。
他メンバーの作業を待つ必要なく、チームメンバーが各自の作業を完了させることができるのが、非同期型の働き方のメリットだ。ただし非同期型の働き方では、チームメンバーは他メンバーの作業状況を常に把握する必要がある。企業が仕事に関する文化、ポリシー、共同作業用のITツールを適切に組み合わせられるか否かが、チームワークの成功を左右する。
非同期型の働き方の第一歩は、ポリシーを決めることだ。企業はポリシーを決めて、チームメンバーに期待することを明確に示し、各メンバーがチームの一員としての役割を果たしながら自由に働く方法を管理する。ポリシーには、
などを含めるのが一般的だ。
企業は、ポリシーの範囲内で運用可能なITツールを厳選する必要がある。具体的には、以下のようなアプリケーション、アーキテクチャ、リモートアクセス方法を使用することになる。
ポリシーとITツールを用意したら、次のステップは研修プログラムを用意することだ。テレワーカーと一緒に作業するチームメンバーが「ポリシー上、望ましいことは何か」「新しいITツールをどのように使えばいいのか」を学べるようにするために、研修プログラムの内容を検討する必要がある。テキストを用意し、対面またはオンライン形式で研修を実施するのが望ましい。非同期型の働き方の目標、ITツール、期待されていることをチームメンバーが確実に理解できるよう、多肢選択式の簡単なテストを実施するといい。
中編は、非同期型の働き方が従業員と企業にもたらすメリットを解説する。
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