消費者のショッピングに対する考え方はパンデミックを経て変わった。小売業者は、オンラインショッピングを経験した消費者を店舗に呼び戻すことができるのか。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(感染症の世界的な流行)の影響で、消費者がオンラインで買い物をする傾向が強まった。パンデミックが沈静化するにつれ、店舗に足を運ぶ消費者が戻りつつある。だが消費者の考え方はパンデミックを経て変わったため、店舗が以前の客足を容易に取り戻せるわけではない。小売業者は何に取り組むべきなのか。
2020年にパンデミックが発生する以前から、消費者はオンラインショッピングを利用してきた。優れたショッピングエクスペリエンス(買い物体験)を提供するEC(Eコマース:電子商取引)サイトの台頭を受けて、「商店街は衰退するのではないか」という議論が巻き起こっていた。
そうした見方に拍車を掛けたのがパンデミックだった。NTT Data UK&Iで小売担当ディレクターを務めるジェフ・ロイド氏は、パンデミック下でオンラインショッピングサービスのパーソナライズ化が進んだとみる。これにより「ショッピングエクスペリエンスに対する消費者の期待は、これまでにないほど高まっている」とロイド氏は話す。
パンデミックが沈静化して消費者が店舗に足を運びやすくなっても、オンラインのショッピングエクスペリエンスを経験した消費者は、店舗には出向きにくくなる可能性がある。そうした消費者には、わざわざ家から出て店舗を訪れる理由が必要だ。
小売業者は店舗を「単なる購入の場所」ではなく、「消費者が求めるショッピングエクスペリエンスを提供する場所」に変えなければならない。
NTT Data UK&Iは、2023年2月に公開した同社のブログエントリ(投稿)で、英国の消費者が「2023年のショッピングエクスペリエンス」にどのような期待を寄せているのかを示した。それによると主にアパレル製品を購入する際、店舗において以下のデジタルサービスの提供を期待する消費者が一定数存在する。
小売業者が取り組むべき課題は、システムを導入し、ショッピングプロセスを自動化したり、消費者の好みや購買行動を分析したりすることだ。これにより小売業者は消費者の行動情報を効果的に集め、消費者のニーズに合わせたショッピングエクスペリエンスを提供できるようになるというのがロイド氏の考えだ。
後編は、ショッピングエクスペリエンスを強化するために店舗が投資すべき技術を紹介する。
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