「6G」は実用化が早まっても“すごい技術”だけでは浸透しない 何が駄目なのか6G普及に欠かせない「ユーザー体感」【前編】

「6G」の商用化に向けた準備が進み、数年後には活用が始まる可能性がある。その際、“あること”が6Gサービスの普及に欠かせないと調査会社は指摘する。そのあることとは。

2023年05月18日 07時15分 公開
[Joe O’HalloranTechTarget]

 「6G」(第6世代移動通信システム)は、これまで2028〜2030年に商用化するとの見方があったが、早ければ2025年に登場する可能性が出てきた。そうした中、調査会社のInterDigitalとInforma Tech(Omdiaの名称で事業展開)は6Gに関する共同調査を実施。6Gを成功に導くためには、技術的な視点の進化だけでは足りないと説明する。どういうことなのか。

6G普及の意外なネックとは? 鍵を握るのはこれだ

 InterDigitalによれば、6Gの登場は通信業界だけではなく、経済全体にインパクトをもたらす可能性がある。6Gは「5G」(第5世代移動通信システム)よりも大量データの高速通信を可能にするため、IoT(モノのインターネット)や仮想空間「メタバース」の本格普及に欠かせないと同社はみている。

 今回の共同調査「Experience The Future of 6G: A New Direction for Telecom」(6Gの未来を体験:通信の新たな方向性)は、米カーネギーメロン大学(Carnegie Mellon University)の実証実験の他、通信事業者やユーザー企業へのインタビューに基づいて、6Gの可能性についてまとめている。

 InterDigitalとOmdiaによると、6Gサービスは「触覚」や「空間認識」など人間のさまざまな感覚を利用し、ユーザーが完全な没入型体験を得られるようにするものだ。6Gによって、一人一人のニーズをくみ取った通信サービスの提供が可能になるという。通信事業者はこのことを意識し、優れた「ユーザー体感品質」(Quality of Personal Experience)の実現に注力すれば、新たなビジネスチャンスをつかめると両社は説明する。

 ただし、現状の通信用語が技術者目線で作られているため、一般消費者にとって理解しにくいことが6Gサービス普及のネックになりかねないとInterDigitalとOmdiaは指摘する。6Gサービスはユーザー体感を前面に打ち出しているため、用語もそれに合わせ、一般消費者にとって親しみやすい言葉を作る必要があるという。


 後編は、6Gサービス普及に関する専門家の見解を紹介する。

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