自社の要件に合うKubernetesクラスタ管理ツールを選ぶ際には、監視・ロギング機能を比べるのも手だ。「Rancher」「Red Hat OpenShift」「VMware Tanzu」がそれぞれ提供する監視・ロギング機能を比較する。
コンテナオーケストレーションツール「Kubernetes」で、効率的にコンテナクラスタ(Kubernetesクラスタ)を運用する上では、Kubernetesクラスタ管理ツールが活躍する。例としてはSUSEの「Rancher」、Red Hatの「Red Hat OpenShift」(以下OpenShift)、VMwareの「VMware Tanzu」(以下Tanzu)などだ。これらのツールは、それぞれ独自の監視とロギング(ログの記録と分析)機能を提供する。各ツールが標準で搭載する監視とロギング機能、あるいは連携可能な監視ツールやロギングツールは、ツールによってさまざまだ。以下でそれらの違いを確認しよう。
Rancherは、メトリクス(指標)監視ツール「Prometheus」や、データ可視化ツール「Grafana」と連携するためのアダプターを標準で備える。こうしたツールとの連携により、Kubernetesクラスタとアプリケーションから収集したメトリクスをRancherで設定、可視化できるようになる。Grafanaでは、Kubernetesクラスタの健全性の状態やリソースの利用状況に関する洞察を得るためのダッシュボードを作成可能だ。検索エンジン「Elasticsearch」、ログ管理ツール「Fluentd」、データ分析ツール「Kibana」(まとめて「EFKスタック」とも)とRancherを連携させることで、ログの収集と可視化が可能になる。
OpenShiftは、Prometheus、Grafana、アラート管理ツール「Alertmanager」を標準で利用可能だ。エンドユーザーはダッシュボードを使って、Kubernetesクラスタやアプリケーションのメトリクスを監視できる。OpenShiftは、Kubernetesクラスタ全体の監視に関する仕様をカスタマイズできる仕組みも備える。ログ管理機能については、Elasticsearch、Fluentd、KibanaとOpenShiftを連携させることで、Kubernetesクラスタ内で実行中のアプリケーションに関する一元的なログ管理が可能だ。
VMwareは、Kubernetesクラスタを監視するための「VMware Aria Operations for Applications」(旧VMware Tanzu Observability)を提供している。VMware Aria Operations for Applicationsは、リアルタイムでメトリクスとデータを分析できるダッシュボードを提供する。その他の機能として搭載しているのは、Kubernetesクラスタおよび実行中のアプリケーションの自動検出、リアルタイム監視などだ。Elasticsearch、Fluentd、KibanaとTanzuを併用することで、分析に必要なログを1カ所に収集する仕組みを構築できる。
次回は、スケーリング機能を比較する。
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
DXが進み、レガシーシステムからの脱却が喫緊の課題となっている今。「ERP×ノーコードツール」のアプローチで基幹システムの刷新に取り組む企業が増えている。そのアプローチを推進するに当たってのポイントを解説する。
DXの本質は、デジタル技術を駆使して変化に適応する能力を身につけることにある。その手段の1つとして注目を集めているのが、ローコード/ノーコード開発ツールだ。京王グループなどの事例とともに、その特徴やメリットを紹介する。
DX人材の重要性が高まる中、ノーコードツールの活用によって業務改革と人材育成を両立しようとする動きが活発化している。年間約780時間の工数削減を実現した京セラをはじめとする5社の事例を基に、その実態を探る。
急速に進化するデジタル技術は、製造業などのものづくりの現場にもさまざまな恩恵をもたらしている。しかし、設備点検業務や棚卸業務などの立ち仕事や移動が多い現場では、いまだにアナログ業務が残存し、効率化の妨げとなっているという。
あらゆる業界でDXの重要性が増しているが、工場や倉庫の中にはデジタル化が後回しにされている隙間業務が多数ある。その理由を明らかにした上で、それらの業務をモバイルアプリでデジタル化し、現場DXを推進する9社の事例を紹介する。
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。