企業向け無線LANの構築には幾つもの注意点がある。ユーザー企業の目線でどのような点に注意すればいいのか、基本的な内容を紹介する。
企業向けネットワークのコンサルティングを務める筆者が無線LANの注意点を解説する本連載。今回は、企業向け無線LANの業界で広く認められている基礎的なポイントを5つ紹介する。
設計は無線LANの構築経験が豊富な専門家に依頼しよう。設計は、顧客のビジネス要件を理解することから始まる。ビジネス要件に応じて、設計者は以下の内容を調査する。
天井裏にAPを設置したがる企業があるが、それは推奨ではない。配線とメンテナンスが難しくなる可能性があり、結果的にコストが高くなる恐れがあるためだ。
設計後、テスト用のAPを各所に配置し、現地で利用環境の調査をする必要がある。調査では一般的に、電波状況を確認するための測定器と、測定結果を表示するソフトウェアを使用して無線LANの干渉源や、壁や植物などにより電波がどの程度減衰するかを確認する。
テスト時にはエンドユーザーが業務時に利用するスペックの低いクライアントデバイスや、重要性の高いデバイスの動作を検証する。筆者の意見としては、4年以上前に購入したデバイスがある場合は、アップグレードを検討すべきだ。例えば倉庫のバーコードスキャナーは、アップグレードをすべきデバイスの一つになる。
無線LAN構築における問題の一つにやりやすいのは、AP設置の不備だ。ダクト、鉄骨、キャビネットなど、金属製品の近くにAPを設置すると、通信に悪影響が出ることがある。APは設置時の正しい向きが設定されており、天井取り付け型のAPを時計のように壁に取り付けても、うまく機能しないことがある。これらの内容を踏まえて、適切な場所に設置できる専門の業者を選ぶべきだ。
設置後にも現地で利用環境の調査をする必要がある。設置の仕方が適切で、必要な通信性能が出ているかどうかを確認できる。設置後の調査結果は、ネットワークの接続範囲と性能の基準になるため、ネットワークを変更したい場合にも役に立つ。設置後の調査には追加費用が掛かることがある。
時間の経過とともに何かしらの変化が起こる。隣接するオフィスに新たな企業が移転してきたり、APや配線が故障したり、建物に改築があったりする。筆者は、建物内に垂れ幕やマイラーバルーン(アルミ二ウムを表面に蒸着加工した風船)をつるして、電波を反射させていたケースを見たことがある。
第4回は、企業向けの無線LANを構築するためのベストプラクティスを紹介する。
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